組み込みエンジニアは、家電製品や車載器などに搭載されるマイクロコンピュータやロボット、工場設備などに制御システムを組み込んで作動させるITエンジニアです。一部では、きつい仕事と言われることもありますが、実際には未経験からも目指せる専門的な職種です。
今回は、組み込みエンジニアの仕事内容やシステムエンジニアとの違い、平均年収やキャリアパスを解説します。きついと言われる理由、組み込みエンジニアに求められるスキルや知識、目指す方法もご紹介しますので、組み込みエンジニアになりたい方は参考にしてください。
目次
組み込みエンジニアとは
組み込みエンジニアは、ITエンジニアのなかでも開発エンジニアに属し、制御システムの設計や開発に携わります。ここでは、組み込みエンジニアの仕事内容とシステムエンジニアとの違い、平均年収、キャリアパスを解説します。
組み込みエンジニアの仕事内容
組み込みエンジニアの仕事内容は、主にハードウェアに搭載される制御システムの設計や開発です。具体的には、家電製品や車載器、工業用ロボット、工場設備などのハードウェアに組み込む制御システムの設計、開発を行います。
組み込みエンジニアと制御エンジニアとは業務領域が近いため、企業によっては一括で捉えられることが少なくありません。ただし、組み込みエンジニアは主に組み込み開発、制御エンジニアは制御設計の担当を行う点で異なります。
組み込みエンジニアとシステムエンジニアとの違い
組み込みエンジニアとシステムエンジニアは、業務対象の範囲で大きく違います。組み込みエンジニアの業務が、ハードウェアに組み込むシステムの設計や開発であるのに対し、システムエンジニアは全領域のソフトウェアシステム全体の設計と開発に関わります。
一方で、組み込みエンジニアとシステムエンジニアはともに顧客の要望に応えることが目的である点は同じです。
組み込みエンジニアの平均年収
転職・求人dodaが2020年に実施した調査によると、組み込みエンジニアの平均年収は500万円程度との結果が出ました。一般的なモノづくり系エンジニアの平均年収が463.4万円であるのに比べて、高い水準となっています。
組み込みエンジニアの年収は、経験年数や個別のスキルによっても差が出ます。10年目であれば700万〜1,000万円程度に上昇するため、将来的には、1,000万円以上の給与も目指せる仕事です。
組み込みエンジニアのキャリアパス
組み込みエンジニアに想定できるキャリアパスには、開発分野で専門性を高める方法と、他分野で活躍する方法があります。
開発分野で専門性を高めるには、チーフやプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーなどプロジェクト内でポジションを高めていくキャリアが考えられます。さらに、システムアーキテクトやエンジニアマネージャー、独立するのであれば、CTO(最高技術責任者)を目指すのも選択肢の一つです。
経験を活かしてセールスエンジニアやQAエンジニア・AIエンジニアなどその他のITエンジニアになる道もあります。
組み込みエンジニアに求められるスキルや知識
組み込みエンジニアに求められるスキルや知識は、次の3つです。
- ハードウェアに関する知識
- コミュニケーションスキル
- 英語力
それぞれ詳しく解説します。
ハードウェアに関する知識
組み込みエンジニアの業務にあたっては、ハードウェアに関する知識が不可欠です。ソフトウェアに関する知識がどのエンジニアにも求められる一方で、組み込みエンジニアはハードウェアに関する知識も備えておく必要があるからです。
業務では、ハードウェアの回路図面を見て仕様を把握したり設計したりすることもあります。そのため、電気回路の知識や電気、抵抗、電圧、電子基板などの知識があれば、強い武器となるでしょう。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルも組み込みエンジニアに欠かせないスキルです。なぜなら、他の開発者とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことが多いので、業務がスムーズに進むよう円滑なコミュニケーションが求められるからです。
具体的には、チームメンバーで作業を分担して進める場合や、システムの仕様策定・設計を行う際にコミュニケーションスキルが求められます。スキルや知識は勉強すれば身につきます。しかし、コミュニケーションスキルは正解がないため、臨機応変に対応していく必要があるでしょう。
英語力
組み込みエンジニアとして活躍するなら、最低限の英語力も習得しておくと良いでしょう。プログラミング言語は英語で成り立っているので、基本的には全てのエンジニアが最低限理解しておく必要があるからです。
また、近年の製造業ではオフショア開発が進められており、最新情報は海外から来ることがほとんどです。仕様書や技術書も英語で書かれていることが多いので、英語ができることで活躍フィールドを広げることも可能でしょう。
組み込みエンジニアがきついと言われる理由
組み込みエンジニアは、モノづくりというやりがいのある仕事ですが、一部では仕事がきついと言われることもあります。仕事がきついと感じてしまう代表的な理由は以下の3つです。
- 高度な技術や知識が求められる
- 納期が決まっているのでストレスになりやすい
- 企業によっては人手不足で激務になる
組み込みエンジニアの業務は、製品開発プロジェクトが長期化しやすく高い技術力や詳細な仕様書への対応力が求められます。一方で、緊急を要する場合には臨機応変な対応が求められるなど、継続力や忍耐力が求められる仕事です。
また、IT業界では人手不足が問題となっており、組み込みエンジニアも企業によっては不足しているため激務になるケースが少なくありません。
組み込みエンジニアは高度なスキルや技術が求められる一方で、激務なためにきつい印象を持たれやすい職業といえるでしょう。
組み込みエンジニアの将来性
組み込みエンジニアの将来性は高く、今後も需要が増える見込みのある職業です。なぜなら、AIなどのITの進化に伴い、相乗効果が求められることが多いので引き続き需要が高いからです。
例えば、IoT家電や自動運転可能な機械にはマイコンやコンピュータなどが内蔵されることが増え、それらを制御するシステムやソフトウェアの設計、開発に組み込みエンジニアが欠かせません。
また、近年、技術革新により、組み込まれるシステムにはAIが搭載されるだけでなく、高度な信頼性や安全性が求められるようになっています。設計や開発の専門的な知識や経験、さらには常に新しい技術を習得できる組み込みエンジニアは、将来にわたり需要が求められるでしょう。
組み込みエンジニアになるには
組み込みエンジニアは、システム設計や開発に関する高度な知識が求められる職種ですが、未経験から目指すことも可能です。ここでは、組み込みエンジニアになる3つの代表的な方法をご紹介します。
- 未経験の場合はまずはプログラミングを勉強しておく
- スクールや専門学校に通う
- 資格や認定を取得しておく
未経験の場合はまずはプログラミングを勉強しておく
未経験から組み込みエンジニアになるには、まずはプログラミングを勉強して、システム開発の基礎的なスキルを身につけることが大切です。プログラミングの知識は、独学やプログラミングスクールなどを活用して身につけることができます。
ただし、プログラミングで扱う言語にはさまざまな種類があります。開発現場で特に用いられているC言語をまずは習得して、学習範囲を広げていくと良いでしょう。
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スクールや専門学校に通う
組み込みエンジニアは未経験からでも目指せる職種ですが、実際に活躍している人の多くは大学や専門学校を卒業しています。なぜなら、プログラミングの知識に限らず実践的な経験があるほど企業からの評価につながるからです。
全くの未経験で独学が難しい方や独学よりも効率的に学びたい方は、より専門的な知識を学べて実践的な開発にも携わることのできるスクールや専門学校に通うのも一つの手段といえるでしょう。
資格や認定を取得しておく
既にプログラミング知識があり、組み込みエンジニアへの転職を考えている人は、関連する資格や認定を取得するのも良いでしょう。資格や認定の取得は必須ではありませんが、スキルの証明としてアピールできるからです。
特に役に立つ資格は、エンベデッドシステムスペシャリスト試験、ETEC(組み込み技術者試験制度)、JSTQB認定テスト技術者資格などです。
また、ナショナルインスツルメンツ(NI)のLabVIEW組み込みシステム開発者認定(CLED)やSME(国際生産技術者協会)の国際生産技術者資格(CMfgE)などの認定もあります。
組み込みエンジニアは専門性が高く将来性もある仕事
組み込みエンジニアは、家電製品や車載器、工業用ロボットなどのハードウェアに搭載される制御システムの設計や開発を行うエンジニアです。ソフトウェアに加えて電子基盤や電気、抵抗といったハードウェアに関する専門的な知識を必要としますが、AIなどの進化に伴い需要が高く、将来性のある仕事です。
業務にはプログラミングの知識やコミュニケーションスキル、英語力が必要となります。しかし、未経験からでも独学やスクールに通って基本スキルを身に着けることで、組み込みエンジニアを目指せます。
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