エンジニアとして上流工程に携わることは、キャリアアップや年収アップに欠かせません。一方で、未経験で下流工程から始めたエンジニアにとっては、上流工程ではどのような仕事を行うのか、なるためにはどのような資格が必要なのかが分からないのではないでしょうか。

そこで今回は、エンジニア職における上流工程と下流工程との違い、上流工程の仕事内容を解説します。上流工程に携わる魅力や必要なスキル、資格も解説しますので、上流工程を目指しているエンジニアの方は参考にしてください。

エンジニアにおける上流工程とは

エンジニアにおける上流工程とは、システム開発などの初期工程で、要件定義や設計、予算や計画などクライアントの要望をシステムに落とし込むための初期段階を指します。ここでは、エンジニアにおける上流工程の特徴や下流工程との違いを解説します。

大きな特徴

エンジニアにおける上流工程はプロジェクトの初期段階のことです。システム全体の方向性を決定する役割を持ち、プロジェクトの成功に大きく関わる存在です。

上流工程ではプロジェクトの進捗管理などマネジメントの側面も強いことから、後に説明する下流工程に比べて時間的、業務的な余裕があり、給与面でも待遇が良いのが特徴です。

下流工程との違い

下流工程とは、上流工程が決定する要件定義や設計にしたがってシステムを構築する段階です。下流工程ではシステムの実装やテストなど、具体的な作業に焦点が当てられる一方で、上流工程は計画や設計に関する活動が中心である点で違います。

上流工程は全体のビジョンを設定する役割を果たすのに対し、下流工程はそのビジョンを実現させることが重要となります。

上流工程の仕事内容

上流工程の主な仕事内容は以下の3つです。

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 詳細設計

各仕事内容の詳細を解説します。

要件定義

要件定義とは、クライアントのニーズやビジネス要件をヒアリングして明確にするプロセスです。ヒアリングした内容を基に、開発するシステムの概要や機能を定義し、これらの内容を設計書に落とし込みます。

要件定義が不明確な場合、後の工程でのトラブルの元となることがあるため、非常に重要なプロセスです。

基本設計

基本設計とは、要件定義を基に、システムの基本的な構造や機能を設計するプロセスです。

設計には、ユーザーの利便性を考慮する外部設計と、システムの機能実装における内部設計があります。

基本設計に携わるエンジニアは、システム全体のアーキテクチャやデータフローを明確化して、不具合が起こらないようにしなければなりません。

詳細設計

詳細設計とは、基本設計をさらに具体化して、仕様を詳細に決めるプロセスです。このタイミングで作成する設計書に基づいて、開発チームは実装を行うため、開発者目線に立ったうえで具体的な指針を提供する必要があります。

詳細設計は上流工程であるものの、企業によっては、成長を目指すエンジニアが担当することもあり、上流工程の入り口としての役割も担います。

上流工程に携わる2つの魅力

上流工程に携わる魅力は、収入アップが見込める点、より達成感を味わえる点です。それぞれの魅力について具体的に解説します。

収入アップが見込める

上流工程に携わる魅力の一つは、下流工程に携わるエンジニアに比べて収入アップが見込める点です。上流工程ではプログラミングなどのスキルに加えて、マネジメントなど多様なスキルが求められるため、市場での需要が高く、給与が高くなる傾向があるからです。

プロジェクト全体の管理や方向性を担うため、責任が重く報酬もそれに見合ったものとなります。

より達成感を味わえる

上流工程に携わるエンジニアは、プロジェクトの初期段階から関わります。要件定義から設計、スケジュール管理など幅広い業務を行うため、全体の成功に直結する実感を得やすく、達成感を味わえることも魅力の一つです。

当初、クライアントからヒアリングした内容を要件定義や設計に落とし込むことで、クライアントのビジョンを実現する喜びが得られます。

上流工程に必要なスキル

上流工程に必要とされる主なスキルは以下の3つです。

  • 幅広い知識
  • 論理的な思考
  • コミュニケーション能力

幅広い知識

上流工程エンジニアとして活躍するには、開発に関する技術的な知識だけでなく、業界特有の知識など、プロジェクトを俯瞰的に捉えられる幅広い知識が求められます。

多様な知識を持っていることで、クライアントのニーズを正しく汲み取り要件定義や設計に落とし込むことができるからです。そのためには、ビジネスの流れや市場動向についての理解も必要です。

論理的な思考

上流工程では、論理的な思考ができることも求められます。システム開発にあたっては、クライアントの有する複雑な問題を分析して、解決策を導き出す能力が重要だからです。

また、要件の整理や設計の際にも、論理的なアプローチが求められます。スケジュールや予算を考慮しながら業務を最適化する際も、論理的な思考が役立ちます。

コミュニケーション能力

システム開発には、クライアントなどの関係者や開発チームのメンバーとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。特に、クライアントの要望や抱えている課題を引き出すためのヒアリングでは、コミュニケーション能力が求められます。

また、要件の確認やフィードバックを受け取る際も、的確に意思疎通を図るためのスキルが必要です。

上流工程で活かせる資格

上流工程で活かせる資格は以下の4つです。

  • 応用情報技術者
  • プロジェクトマネージャ試験
  • オラクルマスター
  • システムアーキテクト試験

各資格の概要や上流工程でどのように活かせるかを解説します。

応用情報技術者

応用情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門と呼ばれる基本情報技術者試験の上位資格で、ITに関する幅広い知識を証明できる資格です。

テクノロジーや経営、プロジェクトマネジメントなど出題範囲が広いのが特徴です。転職で上流工程に挑戦する場合に、基本的な技術力や応用力を示して信頼性を高めることができます。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトの計画、実行、監視、終了までの全体的な知識とスキルを証明する資格です。

プロジェクトマネージャーとして活躍するには、高レベルのIT知識と経験、リーダーシップが求められます。プロジェクトマネージャー試験に合格することで、プロジェクト管理の能力を示せるため、上流工程へのキャリアパスが広がります。

オラクルマスター

オラクルマスターは、Oracleのデータベース技術に関する専門知識を証明する資格です。一般的なデータベースに加え、Oracle製品を扱えることを前提とした知識が問われます。

データベースの構築・設計や管理・管理、プログラミング言語であるSQLなどの関連スキルを持つことを証明できるため、上流工程への転職活動に対しても有利に働きます。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は、システムの設計に関する専門知識を持つことを証明する資格です。ビジネスにおけるシステム戦略やシステムの企画・構築への理解に加え、さまざまな業務モデルに対応できる力が必要です。

基本情報技術者試験、応用情報技術者試験に比べて難易度が高い交読文試験に分類されます。複雑なシステムを構築する能力を示せるため、上流工程で活躍できる人材としての価値が高まります。

エンジニアを目指すならダイレクトリクルーティングを利用しよう

上流工程エンジニアは、プロジェクトの初期段階でシステム開発全体の方向性を決定する職種です。クライアントの要望を要件定義に落とし込み、システムの基本設計・詳細設計を行います。

開発以外にプロジェクトをマネジメントする役割も担うため、他のエンジニア職に比べて高収入が見込まれ、仕事への達成感を味わえる点が魅力です。

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