法人営業は、BtoB企業において法人向けに営業活動をする職種です。BtoB企業が取り扱う高額な商品・サービスをクライアントに提案するため、売上を創出する重要な仕事を担います。

今回は、法人営業の内容と仕事を進める流れ、個人営業との主な違いを解説します。法人営業に向いている人の特徴もご紹介しますので、法人営業への転職をご検討中の方は参考にしてください。

法人営業とは?

法人営業とは、主に新規開拓営業とルート営業を行います。ここでは、それぞれの内容を解説します。

新規開拓営業

新規開拓営業とは、新たな顧客を獲得するための営業活動です。これまで取引がなかった法人にアプローチして、顧客になってもらうまでの営業活動を行います。

マーケティングが行うような、市場調査による見込み客の特定や、見込み客にアプローチするプロセスが含まれることもあります。また、既存顧客に対するアップセルやクロスセルの提案など、これまでの売上に新たな売上を付加する営業も含まれます。

ルート営業

ルート営業とは、既存顧客との関係を維持・強化する営業活動のことです。定期的な訪問を通じて顧客のニーズを把握し、追加の提案やフォローアップを行うのが特徴です。

具体的には、取引が数年にわたるなど、安定して契約が継続できている取引先を周り、商品・サービスの商談を行ったり、新商品・サービスの紹介といった提案営業を行います。

ルート営業には複数の取引先を巡回するタイプと、専属で1社のみを巡回するタイプがあり、企業によって異なります。

法人営業の流れ

法人営業は、次の4つのステップで進めます。

    1. ターゲットリストの作成
  1. アポイントメント
  2. 訪問・商談
  3. アフターフォロー

各工程で行うことなどの詳細を解説します。

1. ターゲットリストの作成

まずは、どの企業にアプローチするかを決定するための見込み客リストを作成します。

ターゲットリストの作成時は、業種や規模、ニーズに基づいてターゲットを選定することが重要です。

リスト作成の手順は以下の通りです。

  1. 企業データや会社四季報、プレスリリースなどから先方企業の情報を収集する
  2. 収集した情報を業種や規模などでカテゴリ分けする
  3. 各カテゴリで優先順位をつける

営業進捗により、リストは随時更新して、最新の情報に保つことが大切です。

2. アポイントメント

アポイントメントとは、顧客との面談や商談のための日時を設定するプロセスです。

ターゲットリストに基づき優先順位の高い順にしたがって、電話やメールでアプローチを行います。実際に対面する前に、良好な関係構築を図ることが重要です。

アポイント時に気をつけたいポイントは以下の通りです。

  • 用件を端的に伝える
  • 商品・サービスを押し売りしない
  • ネガティブな話はしない
  • アポイントの日時決定は、二者択一にするなど選択肢を狭める

3. 訪問・商談

訪問・商談は、実際に顧客を訪問して、ニーズのヒアリングや提案を行う段階です。

事前にアポイントメントを設定した日時に法人を訪問し、受付で時間や担当者の部署・名前などを伝えましょう。担当者との面談時は、自己紹介を簡潔に済ませ、アポイントメント設定に感謝の意を伝えます。

先方の担当者が営業内容を理解できる環境を整えるため、事前に資料を準備してプレゼンテーションを行い、製品やサービスの魅力を伝えることが重要です。

4. アフターフォロー

アフターフォローは、商談後のフォローアップを行い、顧客の満足度を確認するプロセスです。

契約直後にサポートを提供するだけでなく、顧客の状況を把握した上で追加提案をするなど、関係を長期的に維持することが求められます。

具体的なフォロー内容は以下の通りです。

  • 商品・サービスの導入サポート
  • 操作や使い方の説明
  • トラブル対応
  • メンテナンス対応
  • 担当者の引き継ぎ

アフターフォローを定期的に提供し、接点を増やすことで、顧客との信頼関係が構築でき、アップセルやクロスセルなどの提案も通りやすくなります。

法人営業と個人営業の主な違い

法人営業と個人営業の主な違いは以下の4つの点に現れます。

  • 顧客の種類
  • 営業・購買プロセス
  • 成果の評価方法
  • 必要なスキル

ここからは、それぞれの違いを解説します。

顧客の種類

法人営業と個人営業(BtoC)における大きな違いは、顧客の種類です。法人営業の対象は企業や団体であり、個人営業の対象は一般消費者です。

法人営業と個人営業とでは、顧客のニーズや購買動機が異なるため、アプローチ方法も異なります。また、法人営業で扱う商品・サービスは、個人営業に比べて高額であることが多く、担当者と決裁者が異なり検討期間が長期に及ぶのが一般的です。

営業・購買プロセス

法人営業と個人営業は、営業や購買プロセスも違います。

法人営業は意思決定が複数のステークホルダーによって行われるため、長期的な商談が多いのが特徴です。扱う商品・サービスによっては、営業の相手方と決裁権を持つ人材、実際に利用する担当者が異なります。

一方で、個人営業は営業の相手が決裁権を持っていることが多く、比較的短期間で決済されるのが一般的です。担当者が営業内容に納得すれば、即決が求められるケースもあります。

成果の評価方法

法人営業と個人営業では、成果の評価方法も違います。

法人営業では契約の金額や取引の継続性が成果の指標です。また、法人営業はチーム制がとられることが多いので、個人成績だけでなく、チームの成績や貢献度なども評価につながります。

一方で、個人営業では販売数や顧客満足度が評価基準となるのが一般的です。個人営業は営業担当者一人で見込み客にアプローチするケースが多いため、個人の成績が評価につながります。

必要なスキル

業務に必要なスキルも法人営業と個人営業では違います。

法人営業では、交渉力や関係構築能力、論理的思考力、業界知識が求められます。なぜなら、法人からの契約獲得には、担当者の理解を促すために、商材により見込み客が得られるメリットを論理的に伝える必要があるからです。

一方で、個人営業には、見込み客それぞれと関係を構築するためのコミュニケーション能力や接客スキルが求められます。

法人営業に向いている人の特徴

法人営業に向いている人の特徴は、以下の3つです。

  • 経営や関連情報に興味がある
  • 社内調整・プロジェクト管理のスキルが高い
  • プレゼンテーションスキルに自信がある

それぞれ具体的に解説します。

経営や関連情報に興味がある

法人営業では、経営や関連情報に興味を持って積極的に情報収集できる人が向いています。なぜなら、顧客企業の事業や経営戦略、課題などを的確に理解することでニーズに見合った提案ができるからです。

このような提案を行うには、業界のトレンドや競合分析に興味を持ち、常に情報を更新する姿勢が求められます。ビジネスの全体像を理解し、顧客の抱える課題を解決できる提案を行える知識やスキルが必要です。

社内調整・プロジェクト管理のスキルが高い

法人営業はチームで動くことが多いため、社内調整やプロジェクト管理のスキルが高い人も法人営業での勤務に向いています。また、営業部門だけでなく、マーケティングやカスタマーサクセスなど社内の他部門との連携が求められることからも、調整能力が重宝します。

予算やスケジュール、顧客フォローの管理も行うこともあるため、プロジェクト全体を管理し、顧客の期待に応える能力が必要です。

プレゼンテーションスキルに自信がある

商談を契約に持ち込むには、適切な提案を行わなければなりません。製品やサービスを先方の担当者に効果的に伝えるためには、プレゼンテーション能力が必要だからです。

なお、プレゼンテーションにおいては、顧客の関心を引きつけ、信頼を築くためのスキルが必要です。厳しい視点から商品・サービスを選定するため、入念な準備をしましょう。高いプレゼンテーションスキルを持っている人は、法人営業での評価につながります。

営業スキルを身につけて転職活動を成功させよう

法人営業とは、法人に対しして自社の商品・サービスを提案する営業手法です。新規顧客創出のための新規営業と既存顧客を巡回して新商品やサービスを提案するルート営業があります。

法人営業には、経営関連情報への理解や積極的に学ぶ姿勢が求められます。また、プロジェクト管理やプレゼンテーションスキルなどを身につけていれば、より上流の役職に就くことができるでしょう。

IT企業で法人営業を目指すなら、自社が取り扱う商品・サービスや顧客理解が不可欠です。

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