短期離職の経歴があると、一般的には転職市場でのデメリットになってしまいます。しかし、職場環境や人間関係などに問題がある状況で我慢しながら、無理に勤務を続けるのは大変です。また、理由次第ではやむを得ず短期離職になるケースもあるでしょう。
そこで今回は、短期離職の定義や短期離職が生じる背景を解説します。また、短期離職のメリット・デメリット、転職活動を成功させるポイントもご紹介しますので、転職活動でお悩みの方はぜひお役立てください。
目次
短期離職とは?
短期離職とはそもそもどのような状態を指すのでしょうか。一般的な定義と短期離職が増えている背景を解説します。また、入社後3年未満で転職活動をする人は第二新卒として扱われます。
期間の目安は3年未満
短期離職には明確な定義がありませんが、多くの企業では一般には入社後3年未満で離職することを意味します。新卒入社後3年未満で転職活動をする人は「第二新卒」として扱われます。
業界によっては、離職率が高いとされる基準となります。
厚生労働省が令和2年に行った「転職者実態調査の概況」によると、6か月未満での転職者は全体の7.8%、6か月以上1年未満は9.9%、1年以上2年未満は17.1%、2年以上5年未満では26.9%であり、多くの転職者が短期離職をしていることが分かります。
短期離職が多い背景
従来、多くの企業では終身雇用制が採用されており、長期に渡り勤めあげるのが一般的でした。しかし、先に示した通り、近年、短期離職が多くなっています。
その背景には、仕事の多様化やライフスタイルの変化による、キャリアに対する価値観の変化が影響しています。働き方改革やリモートワークの普及により、自分に合った働き方を選択する人が増え、より良い環境を求める傾向が強まっているのが、短期離職が多い主な原因です。
短期離職をするメリット
短期離職をすることは必ずしも悪くはありません。短期離職をすると多くの経験を積めたり、結果として自分に合う仕事を探せるメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく解説します。
短期間で多くの経験ができる
短期間でさまざまな仕事を経験できるのは、短期離職のメリットです。様々な業種や職種を経験することで、幅広いスキルを身につけられるからです。
専門的なスキルの習得には5年、10年と時間がかかるのも確かです。しかし、短期離職をすることで、短い時間で多くの知識や技術を習得することも可能です。
また、入社した職場の環境が想像よりも悪い場合に、無理して働き続けるのは心身ともに負担となり、時間が無駄になるでしょう。早期離職によって自分がスキルアップできる企業に転職できれば、結果的に、成長にもつながります。
経験から自分に合う仕事を探せる
短期離職でさまざまな経験をすることで自分の適職を見つけられることもメリットです。実際に働いてみるからこそ、興味をもって取り組める仕事に気づけたり、反対に、合わないと感じる仕事を見極められたりします。
多様な業界や業種で経験を積むほどに視野が広がるため、転職に際しても多角的な側面から判断し、本当に自分に合う職場環境や業務内容を選択できるようになるでしょう。さらに、将来に向けたキャリアパスも検討しやすくなります。
短期離職をするデメリット
短期離職には、以下のデメリットがあります。
- 転職市場での価値が下がる
- キャリアが積めない
- 経済的に安定しない
- 職場での人間関係が築けない
短期離職するかどうか迷っている場合は、各デメリットを理解したうえでしっかりと検討し、結論を出すことが大切です。
転職市場での価値が下がる
短期離職をする最大のデメリットは、転職市場における価値が下がることです。なぜなら、短期離職が多いと、採用担当者から「すぐに辞めるのではないか」と懸念を持たれるからです。
企業が採用や人材育成にかけるコストや時間は膨大なものです。短期離職を繰り返して転職履歴が多くなると、「採用しても定着しないのではないか?」と、採用リスクが高い人材だと捉えられ、信頼性が低下する可能性があります。
キャリアが積めない
短期離職では、十分なキャリアを積めないこともデメリットです。継続的な職歴がないと、専門性やスキルの深化が難しくなり、キャリアが途切れてしまうからです。
十分な経験やスキルアップをしない状態で転職すると、転職ごとに一から経験を積まなければなりません。そのため、たとえ転職できたとしてもマネジメントなどの責任ある仕事を任されず、長期的な視点でのキャリア形成が阻害されることも考えられます。
経済的に安定しない
短期離職が続くと収入が不安定になりがちなこともデメリットです。短期間での離職を繰り返すと、企業からは採用リスクが高いと評価され転職が難しくなります。無職期間は収入が得られないため、収入が安定しないのです。
一般的な正社員雇用では、退職金制度や賞与制度が設けられていますが、支給条件があるため、短期離職では獲得機会を逃す可能性があります。また、短期離職が続く人は、転職できたとしても低い労働条件となることが多く、生涯年収も下がる傾向にあります。
職場での人間関係が築けない
短期間の在籍では、同僚や上司との信頼関係を深めるのが難しくなり、職場での人間関係を構築できないこともデメリットです。積極的に自分から話しかけるなど、人間関係を築く必要があります。
特に、チーム制で仕事をする場合は、役割が決まりづらかったり、コミュニケーション不足による業務効率の低下が起こる可能性があります。職場でのサポートネットワークを形成しにくくなるため、業務外でも居心地の悪さを感じてしまうかもしれません。
転職活動を成功させるポイント
転職回数が多くても転職を成功させることは可能です。以下のポイントをおさえて転職活動を行いましょう。
- 自分が抱えている課題を理解する
- 希望条件を整理する
- 業界・企業研究をしっかりと行う
- 就きたい仕事を絞って転職活動を行う
- 転職サービスを活用する
自分が抱えている課題を理解する
短期離職に対して、自分がどのような課題を抱えているかを理解し、改善点を見出しましょう。なぜ短期で離職してしまうのか、その原因をしっかりと分析すれば、次の転職に活かせます。
また、多くの場合、転職で課題を抱えてしまうのは、自己分析や業界研究、企業研究のリサーチが甘いことが原因です。
待遇面に満足できなかったり職場環境が悪かったりすることが理由で短期間で離職しているのであれば、事前に企業情報や口コミを調べておくなどの改善策を立てられます。
希望条件を整理する
転職先に求める条件や環境を書き出して整理することも、転職を成功させるために欠かせません。希望条件を洗い出せば、選択肢を絞りやすくなるからです。
希望条件を整理したら、譲れない条件と譲れる条件を明確にして、過去の経験や理想をもとに優先順位をつけましょう。判断基準が明らかになることで、企業選定が容易になり、ミスマッチも防げます。
自己分析の結果をもとに、自分が大切にしたい価値観を再確認することも大切です。
業界・企業研究をしっかりと行う
短期離職後の転職を成功させるには、業界・企業研究をしっかりと行うことが重要です。せっかく転職できても、自分に合わない風土や条件では、また短期離職を繰り返してしまう可能性が高いからです。
興味を持った業界・企業が見つかれば、その動向や文化をリサーチし、深く理解することで、ミスマッチを防げます。
特に、これまで経験したことがない業界は業界そのものに対する理解や知識が不足するケースが多くなります。実際に働いている社員の声など、具体的な情報をもとに業界・企業研究を行えば、自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう。
就きたい仕事を絞って転職活動を行う
とにかく仕事に就きたい一心で、業界や業種を絞らずに応募をするケースでは、ミスマッチによる短期離職を起こしかねません。複数の職種や業種に分散させず、自分が本当に目指したい方向や就きたい仕事を絞って転職活動を行いましょう。
焦点を絞ることで、応募書類や面接でのアピールにも深みを出せて効果的に転職活動を行えます。自分がどのようなキャリアプランを描きたいのかを具体的に検討し、採用担当者に真剣に伝えることができれば、採用可能性も高まります。
ダイレクトリクルーティングサービスを活用する
ダイレクトリクルーティングサービスを利用すれば効率的に求人情報を得られるため、転職を成功させやすくなります。専門のアドバイザーが担当者としてついてくれるため、自分の適性や強みに見合った求人を紹介してもらえるからです。
また、企業情報や求人などの情報収集をスムーズに行えるのも利点です。サービス提供会社によっては、自己分析や書類作成、面談などのサポートを行ってくれるところも多いので、転職活動を容易に進められます。
自分に合う仕事を探すならダイレクトリクルーティングがおすすめ
短期離職は、一般には3年未満で退職することを指します。働き方改革や仕事の多様性などから自分に合った働き方をする人が増えているため、短期離職は増加傾向にあります。
一方で、短期離職は、定着性の浅さなどから企業に対してネガティブな印象を与える可能性があります。転職活動にあたっては、なぜ短期離職をしたのか、その理由を掘り下げて面接などで伝えると良いでしょう。
なお、短期離職をした人で転職をお考えの場合は、ダイレクトリクルーティングサービス「HUGAN」の利用をおすすめします。専属のアドバイザーによる転職サポートを受けられ、自分に合った求人を紹介してもらえるからです。外部に出回らない非公開求人も多数保有しているため、自分に合う仕事を容易に探せるでしょう。