近年、「SIerは、腐ってるからやめとけ」とのネガティブな声を聞くことがあります。情報社会となりビジネスにおいてもデジタル化が進む中、SIerは重要な役割を果たすにもかかわらず、どうしてこのような否定的な意見が出るのでしょうか。
今回は、「SIerは腐ってる」といわれる理由と、SIerになるメリット・デメリットを解説します。SIerを目指す際に活かせる資格もご紹介しますので、SIerの就職・転職をご検討中の方は参考にしてください。
目次
そもそもSIerとは?
そもそもSIerとは、システムインテグレータの略称でエスアイヤーと呼ばれる企業や組織のことです。ここでは、SIerの仕事内容と、大手SIerと独立SIerの違いを解説します。
主な仕事内容
SIerの主な仕事内容は、システムの設計・開発・運用を行うことです。
近年、インターネットの普及やIT技術の進歩により、ビジネスにおけるデジタル化が進んでいます。
このような社会に企業や組織が適合できるよう、顧客の求める要件に基づき、最適なシステムなどのITソリューションを構築し、提供するのがSIerの主な役割です。
なお、SIerは大手と独立系とに大きく分かれ、提供するサービスの種類が異なります。
大手SIerと独立SIerの違い
大手SIerと独立SIerの違いは、リソースや提供サービスの柔軟さに現れます。
大手SIerはリソースが豊富で、大きなプロジェクトを同時に扱っているのが特徴です。また、社内の教育・研修プログラムが充実しており、経験が浅い場合でもスキルアップできる環境が整っています。
一方、独立SIerは中小規模のプロジェクトに従事することが多く、特定のニッチ市場に特化するなど、柔軟なサービス提供が可能です。
「Slerは腐ってる」といわれる理由
ここからは、「SIerは腐ってる」といわれる代表的な理由を3つご紹介します。
- 下請構造だから
- 上層部や上司の間を取り持つ立場だから
- 若手が育ちにくい環境だから
下請構造だから
「SIerは腐ってる」といわれる背景には、IT企業ならではの多重構造があります。SIerは、大手企業の下請けとしての立場で業務を請け負うことが多く、利益率が低い場合が多い傾向にあります。
また、下請構造であるために、プロジェクトのコントロールが難しく、品質管理が疎かになることもSIerがネガティブに捉えられる理由の一つです。
上層部や上司の間を取り持つ立場だから
SIerに転職する場合、上層部や上司の間を取り持つ立場を担うために心的ストレスが重なることがあることも、「SIerは腐ってる」といわれる理由です。
SIerでは、若手社員が上司の指示に従いがちで、自発的な意見を言い出しにくい環境であることが多いからです。また、プロジェクトなどの意思決定においても、上層部の意見が優先され、下層の声は反映されにくい状況が続くことがあります。
若手が育ちにくい環境だから
若手が育ちにくい環境であることも、「SIerは腐ってる」といわれる理由です。なぜなら、既存社員や中途採用で入ってくる人は経験者が多く、未経験や新卒などの新人教育に十分なリソースを割けない場合が多いからです。
また、そもそも教育体制が整っていないケースも少なくありません。そのため、若手社員が成長できる機会が限られていることが指摘されています。
SIerになるメリット
SIerになるメリットは、以下の3つです。
- 高収入が狙える
- 福利厚生がよい
- 上流工程に携われる
それぞれ解説します。
高収入が狙える
SIerになるメリットの一つは、高収入が狙えることです。
そもそもIT業界は他の業界に比べて給与水準が高い傾向にありますが、SIer企業はIT企業の中でもさらに給与水準が高いからです。
SIerは大企業からのシステム構築を請け負うことが多いため、プロジェクトの規模や予算も大きくなります。そのため、SIer企業で働くエンジニアも高収入が期待できます。
特に、大手SIerでは高い給与水準が期待できる場合が多いです。また、プロジェクトの成功に応じたインセンティブ制度も充実しているのもメリットです。
福利厚生がよい
福利厚生がよいことも、SIerエンジニアとして働くメリットです。なぜなら、大手企業では充実した福利厚生が整っていることが多いからです。
最近では、リモートワークやフレックスタイムなど、働き手にとって働きやすい職場環境を整備している企業も増えてきています。
また、大手SIer企業では、健康診断や社員旅行、各種手当の充実も期待できます。福利厚生が優れていると、長期的に働くモチベーションにつながるでしょう。
上流工程に携われる
SIer企業は、元請けとしての立場でプロジェクトに参画するため、上流工程に携われるのもメリットです。
要件定義やシステム設計など、システムの初期段階から関与できる機会が多いことは、スキルアップにつながります。
また、クライアントと直接的にコミュニケーションを取る機会も多いため、ニーズの把握や商談の進め方などの経験も詰めます。
上流工程に携わることで、経験を増やせば視野が広がり、将来的なキャリアアップに活かせるでしょう。
SIerになるデメリット
SIerになるデメリットは、以下の3つです。
- 長時間の労働が必要
- スキル取得が難しい
- 業務に対するプレッシャーを感じがち
それぞれ解説します。
長時間の労働が必要
SIerは、プロジェクトの納期に追われるケースが多いため、長時間労働が必要になることがデメリットです。
特に、クライアントの要望が厳しかったり、スケジュールがずれ込んでいる場合には、要望に応えたりスケジュールを調整するために、残業が常態化することもあります。
結果として、ワークライフバランスが取りにくいことが多いために、体調を崩すなどのデメリットもあるので留意が必要です。
スキル取得が難しい
上流工程に携わることができるものの、短期間で多くのプロジェクトに関わるため、専門的なスキルの取得が難しいこともSIerのデメリットです。
SIerでは、コーディングやシステムといった下流工程の業務を担当する機会が限られています。そのため、最新技術やプログラミングといったIT業界における実践的なスキルを習得しづらくなります。
また、担当業務が多岐にわたり、特定の領域に特化した仕事が少ないので、大幅なスキルアップを期待できない点にも気をつけなければなりません。
業務に対するプレッシャーを感じがち
SIer企業の売上は、大手企業であるクライアントからの受注に依存しています。そのため、SIerエンジニアにはプロジェクトの成功に対する責任が重くのしかかり、ストレスがたまりやすいのがデメリットです。
クライアントによっては、急なスケジュール変更やコストの削減依頼など、さまざまな要求が寄せられることもあります。期待に応えなければ、SIer企業の売上に関わってくるため、常に緊張感をもって業務にあたらなければなりません。
SIerに活かせる資格3選
SIerエンジニアとして働く際に活かせる代表的な資格は以下の3つです。
- プロジェクトマネージャー
- システムアーキテクト
- ITコンサルタント
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画・実行・監視に関するスキルを証明する資格です。組織内でのキャリアアップに役立つことが多いのが特徴です。
プロジェクトマネージャー試験で問われるのは、リスク評価やリスク管理、リーダーシップといったプロジェクトに関する管理スキルがメインになります。
ITエンジニア向けの試験の中でも上級に位置します。
システムアーキテクト
システムアーキテクトは、システム全体の設計に関する知識を示す資格です。そもそもシステムアーキテクトは、システム開発において分析や設計の土台を作るエンジニアのことで、その業務には高度な技術力が求められます。
システムアーキテクト試験で問われるのは、上流工程となる要件定義、開発、保守運用がメインであり、SIerとして技術的なリーダーシップを発揮するために有利に働きます。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、経営や戦略面からITの活用を提案するための資格です。
ITコーディネータ試験で問われるのは、IT経営推進プロセスガイドラインと、IT経営に関する応用知識です。また、選択問題として、経営系(経営戦略・業務改革・IT戦略)もしくは情報系(IT戦略・IT利活用)を選択します。
ITコーディネータ試験に合格することで、ビジネスと技術の両面でのスキルを持っていることを証明できます。
Slerを目指すならHUGANの利用を検討しよう
「SIerが腐ってる」といわれる主な理由には、IT業界特有の下請構造であることや若手が育ちにくく上層部や上司との関係性が難しいことが挙げられます。
しかし、SIerエンジニアとして働くことが悪いわけではありません。大手SIer企業で働ければ高収入を狙えたり、上流工程に携われるなどのメリットがあります。
SIerを目指すのであれば、システム開発スキルやプロジェクト管理スキルを証明できるITアーキテクトやプロジェクトマネージャーなどの資格が活用できます。
SIerは大手企業の方が福利厚生が良いなどのメリットを多く享受できます。自分に合った企業をお探しの方は、ぜひダイレクトリクルーティングサービスの「HUGAN」をご利用ください。希望条件やスキル・経験をヒアリングの上、おすすめのSIerをご紹介可能です。