研究職への就職・転職を検討しているにも関わらず「やめとけ」との言葉を見ると、戸惑ってしまう方もいることでしょう。しかしこれは研究職に限った話ではなく、どの職種にも向き・不向きが存在します。

だからこそ事前に自己分析し、向き不向きの判断が重要です。本記事では研究職のやりがいや、やめとけと言われる理由、向いていない人の特徴について解説します。

研究職はやめとけと言われる理由

就活中、転職活動中に「研究職はやめとけ」と言われる理由は、主に下記3つです。

  • 就職や転職が難しい
  • 研究以外にやることが多い
  • 人間関係で苦労する可能性が高い

それぞれの内容について、詳しく説明します。

就職や転職が難しい

研究員は市場価値が高い一方、就職先が少なく、競争倍率が高い職種です。入社時点で高いスキルが求められるため、大学院の修士課程・博士課程を卒業していることが基本といえます。

公的機関の場合は博士号、民間企業の場合は修士号の取得が要件となるケースが多いことを理解しておきましょう。また、研究職から他職種への転職を目指す場合も、汎用スキルが少ないことから希望条件を満たした転職が難しいといったことも挙げられます。

研究以外にやることが多い

研究職だからといって、自分の専門テーマの研究に没頭できるわけではありません。大学院での研究環境とは大きく異なります。あくまで「仕事」としての研究のため、職場の定例会議や研究室の管理、定期面談、雑務など、研究以外に費やす時間が多数発生します。

また自分の興味・関心による研究テーマではなく、企業の方針、利益の有無といった部分で大きく左右される可能性もあります。「研究職=研究に集中できる」とのイメージで就職した方はギャップに苦しむことが多く「研究職はやめとけ」の言葉につながったと推測されます。

人間関係で苦労する可能性が高い

研究職では、基本的に同じチームでプロジェクトを進めることが多く、人間関係が固定されやすい特徴があります。良好な人間関係が築ければ問題ありませんが、苦手なタイプの人がいる場合、仕事に影響が出る可能性が高いです。

大学院時代に1人でコツコツと自分の研究を進めてきたタイプの人にとっては、積極的なコミュニケーションが求められることに戸惑いを感じるかも知れません。ただ、いろいろなタイプの人と接することで、コミュニケーションスキルが磨かれる可能性もあるため、考え方ひとつとも言えます。

研究職のやりがいやメリット

「やめとけ」との声がある一方、研究職は多くのやりがいやメリットがある職種です。給与や待遇、安定といった観点から3つのメリットについて解説します。就職・転職を考える際に参考にしてください。

給与や待遇が良い

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によりますと、企業規模10人以上の研究者の平均年収は男性約785万円、女性約589万円です。日本人の平均年収と比べると男女ともにかなり高い点が特徴です。

研究分野は多岐に渡るため、すべての研究職が高年収とは言い難いものの、高年収が期待できる職種といえます。特に企業の製品開発などに関わる場合、実績を上げることで優遇されることが多いです。

安定した企業で働ける

「研究職の募集=研究設備や研究コストを確保できる、ある程度資金力のある企業の募集」です。安定した経営を続けている企業の証とも言えます。

さらに研究職を必要とするのは、食品や医薬品、化粧品など、生活に根ざしたアイテムを扱う大手メーカーが中心です。世の中に必要とされるものを生み出す喜びとやりがいを感じながら働けることも大きなメリットといえます。

最先端の技術開発に関われる

研究者は、未知なるものを作り出し課題解決を行う仕事です。研究室では、最先端の研究設備や研究機器を扱えるチャンスもあり、自らの知的好奇心も大いに満たされるでしょう。

自らの研究が企業に利益をもたらすだけでなく、社会貢献にもつながることは、大きな喜びのひとつです。最先端の技術開発に関わり、世の中に対して良い影響をもたらすといった行動は、研究者ならではの仕事といえます。

研究職に向いてる人の特徴

研究職向きの人は、下記に当てはまる人です。

  • 好奇心や探究心が強い人
  • 社会貢献、社会に新しい価値を提供したいと思う人
  • 前向きで根気強く研究できる人

新しいことや未知なるものに対し興味関心が高く、研究に没頭できる人は、研究者向きです。自らの研究を通して社会を良くしたいといった思いがあれば、より熱心に研究に取り組めるでしょう。

また研究を続けるにあたっては、想定外の結果や研究費の減額など困難にぶつかることも考えられます。しかし、諦めることなく、かつ楽しみながら研究を続けるスキルがある人は、研究職向きです。

特に研究職は、他の職種への転職が難しい職業です。研究職以外の道は考えられない、または研究・開発、役員といったコースを根気強く歩む人に最適といえます。

研究職に向いていない人の特徴

一方、研究職に不向きな人の特徴は下記の通りです。

  • 待遇に惹かれている人
  • 飽き性な人
  • 柔軟な考え方ができない人
  • 閉鎖的な環境が苦手な人

研究職は前述したように、年収や待遇の良い仕事です。しかし「理系だから研究職」と安易に考えていると「思っていた働き方と違う」と、戸惑う可能性が高まります。

またゴールが見えない状態でも、成果を出すためにコツコツと努力する必要があるため、飽き性な人や柔軟な考え方のもとで新しいアイデアを生み出すことが苦手な人には不向きな仕事です。

さらに一定のメンバーで研究を続けることが多いため、少なからず閉鎖的な環境で働くことが求められます。積極的にコミュニケーションを取りたい、多くの人と関わりたいと考える気質の人にとっては居心地の悪い場所と感じやすく、不向きといえます。

研究職以外に理系におすすめの職種

理系の大学または大学院を出た人におすすめの仕事は、研究職だけではありません。データサイエンティスト、エンジニア、航空整備士の3つの仕事について具体的な仕事内容を紹介します。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、蓄積されたビッグデータをもとに、解析・分析し、結果をもとにマーケットの提案やデータの運用などを行う仕事です。データ分析能力が高い人、論理的な思考能力がある人向きといえます。

プログラミング言語などの知識を新たに習得し、学生時代に学んだ統計解析手法を活かすことで、より市場価値の高い人材を目指せます。IT化やAIの進化に伴い、今後ますます需要が高まる仕事と言えるため、今から目指すことをおすすめします。

エンジニア

エンジニアとは、情報工学や工学などの専門的な知識を持つ技術者です。ITエンジニアやA Iエンジニア、システムエンジニア、フロントエンドエンジニアなど種類も多く、それぞれ求められるスキルが異なります。

特に今後需要が伸びると予想されている「AIエンジニア」は、人工知能に対するソフトウェアの開発・実装や、人工知能が学習して構成したデータの分析・解析を行います。未経験からでも目指しやすい職種かつ、知的好奇心が高い人に特におすすめの仕事です。

航空整備士

理系の中でも電気工学専攻の人に向いているのが、航空整備士です。エンジンから装備品まで飛行機全体の保守・点検を行います。整備に関しては、エンジンに特化したスキルなどを持ち、専門分野で活躍するケースもあります。

人の命を預かる仕事であり、責任感が強い人、細かな部分まで配慮できる丁寧な性格の人に向いている仕事です。近年のLCCの増加に伴い、扱う機体数が増える一方で航空整備士が不足しており、今後さらにニーズが高まる職種といえます。

研究職はやめとけと言われがちだが向いている人には天職の仕事

「研究職はやめとけ」というのは、適性がない人の発言です。十分なやりがいやメリットのある仕事であり、好奇心や探究心が強く、社会貢献に意欲的な人にとっては転職といえます。

その一方向いていない人であれば、理系の学歴を活かし、エンジニアなどの道を選ぶ方法もあります。ポテンシャル採用や経験者採用での転職を希望するのであれば、無料で登録できる「HUGAN」がおすすめです。