会社を辞める際には、円満退社したいと考える人が多いものです。しかし、退職理由を正直に話したり、引き継ぎ書を作成していなかったりすると、トラブルの元になり、これまでの信頼関係を失ってしまうこともあるでしょう。

本記事では、会社を円満に辞めたい方向けに、退職理由の伝え方や退職までのスケジュール、円満退社成功のポイントとよくあるトラブルと対処法について解説しています。スムーズな退職・転職を目指す方はぜひお役立てください。

会社を辞める理由を伝えるポイント

会社を辞める際に理由を聞かれた場合、嘘をつく必要はありません。しかし、本音を言いすぎたりネガティブな気持ちをそのまま伝えたりすると、あなたに対する印象も悪くなります。辞める理由を伝える際に役立つ、次の2つのポイントを解説します。

  • ネガティブな理由は伝えない
  • 話せる範囲で正直な理由を伝える

ネガティブな理由は伝えない

退職理由の本音は給与などの待遇や人間関係だとしても、ネガティブな理由をそのまま伝えることはおすすめしません。あなたへの印象が悪化するだけでなく、退職までの期間の居心地が悪くなり、ストレスになるためです。

また「改善するから退職を考え直してほしい」などと言われ、転職スケジュールに狂いが生じる可能性もあります。言い回しに気をつけ、本音をストレートに言いすぎないようにしましょう。

話せる範囲で正直な理由を伝える

退職理由は、すべてありのままを伝える必要はありません。しかし、だからといって嘘は禁物です。「家族の介護のため」などの嘘をつくと話の整合性がとれなくなり、これまでの信頼関係を失ったり退職後に悪い噂が流れたりする可能性があります。

退職理由は、自分が話せる範囲かつ矛盾しない内容をはっきりと伝えましょう。

会社の辞める流れをチェックしよう

会社を辞める場合、流れに沿って進めることが一般的です。ここでは、トラブルなく円満退職するためのスケジュールを記載しました。

  • 退職や転職のスケジュールを決める
  • 退職したいと上司に伝える
  • 退職届を提出する
  • 業務の引継ぎを行う
  • 関係者に退職の挨拶を行う
  • 有給休暇を消化する

各項目について、わかりやすく解説します。

退職や転職のスケジュールを決める

まず、退職・転職までの計画を立てます。民法では2週間前までに退職を申し出ればよいとされていますが、一般的には後任の補充や業務の引き継ぎに配慮し、2ヵ月前程度に伝えられるように準備することが好ましいでしょう。

会社から引き止められる可能性も考え、スケジュールに余裕を持たせておくとベストです。すでに転職先が決まっている場合は、より注意が必要です。

退職したいと上司に伝える

退職の意思が決まったら、できるだけ早く直属の上司に伝えます。遅くとも退職予定の1ヵ月半〜2ヵ月前には話を切り出しておきます。就業規則で「いつまでに退職の意思を伝える」と決まったルールがある場合は、その規則に従いましょう。

普段の仕事部屋ではなく別室で伝えることが理想です。これまでの感謝を伝えるイメージで丁寧に切り出しましょう。

退職届を提出する

直属の上司から承認を得て、話し合いのうえ退職日が決まったら「退職届」を作成します。会社指定のフォーマットがある場合は、その退職届を使用します。

用意されていない場合は、上司に書き方を相談しましょう。Web上のテンプレートを使用しても構いません。

業務の引継ぎを行う

退職日をゴールに設定し、引き継ぎ業務のスケジュールを作成します。早く後任が見つかった場合は、教えながら業務を引き継いでいきます。

引き継ぎ後に後任が困らないように、関係書類の場所なども共有しておきましょう。顧客リストや進行状況、業務フローなどの資料を作成し、情報を整理・提示しておくと、後任の負担が軽減できます。

関係者に退職の挨拶を行う

社外の関係者、取引先、クライアントなどに挨拶回りを行います。一般的には退職日の2〜3週間前に行うことが多いですが、会社によっては退職日まで口外しないなどのルールがあります。必ず上司や会社の意向を確認しましょう。

取引先等に挨拶する場合、可能であれば後任と共に訪問します。「頼りになる人です」など、後任を立てることで取引先も安心してくれます。退職までの間に会えない場合は、電話やメールで行いましょう。一斉送信ではなく言葉を添えて個別送信すると、より丁寧さが伝わります。

有給休暇を消化する

有給の残日数を確認し、退職前に有給を消化します。有給消化方法は、主に最終出社日の前に有給を消化し「退職日=最終出社日」とする方法、最終出社日の後に有給を消化し「有給休暇最終日=退職日」とする方法の2種類です。

有休消化は労働者の権利です。会社が有給の申請を拒否した場合、労働基準法第39条の違反となるため、まずは人事部に相談しましょう。それでも解決しない場合は、労働基準監督署への相談がおすすめです。

会社を辞める前にしておきたい準備

会社を辞める前には、スムーズに退職するための準備と退職後の自分のための準備の2つを行いましょう。どちらも重要です。

  • 就業規則の確認をする
  • 資格の取得やキャリアの棚卸し

具体的な内容について、わかりやすく解説します。

就業規則の確認をする

就業規則は、会社と労働者が共有するルールブックのようなものです。労働条件や退職時のルールなどが記載されています。自己都合退職の欄を確認すると「退職を希望する日の1〜2ヶ月前に申し出ること」と書かれている会社も多いです。

あらかじめ就業規則の内容を確認し、理解しておくことで、会社に迷惑がかかったりトラブルに発展したりする可能性を減らせます。

資格の取得やキャリアの棚卸し

退職に伴って有休消化などのまとまった時間が生まれます。この時間を有効活用し、これまでの経験、実績、知識、スキルなどを洗い出してみましょう。

時系列に整理し情報を整理することで、自分の強みも把握できます。転職活動にも大いに役立つでしょう。自分の強みを伸ばすための資格取得もおすすめです。

円満退社を成功させる3つのポイント

仕事を辞めるときは、誰もが円満退社したいと思うことでしょう。次に紹介する3つのポイントを意識し、スムーズな退社を目指しましょう。

  • 繁忙期を避けて退職する
  • 退職予定日の1~3ヶ月前に上司に相談する
  • 引き継ぎ書を作成しておく

各内容について、詳しく説明します。

繁忙期を避けて退職する

基本的に、繁忙期に会社を辞めることは可能です。しかし、繁忙期に退職する場合、新たな人員の確保や退職手続きなどの業務が発生します。会社や同僚、先輩、後輩にも迷惑がかかります。

どうしても繁忙期に退職しなければいけない事情がない限り、繁忙期は避けましょう。就業規則に繁忙期の退職に関する記載があることも考えられるため、確認が必要です。

退職予定日の1~3ヶ月前に上司に相談する

業務の状況や就業規則により異なるものの、約1〜3ヶ月前までに上司に退職の意思を伝えておくと、その後の業務や引き継ぎがスムーズに行われます。ただ、退職を決めるタイミングは人により異なります。

先に退職の意思を固める人もいれば、転職活動を始めると同時に伝える人、転職先が決まってから伝えたい人もいることでしょう。ただし、先に転職先が決まった場合、次の職場への入社日との兼ね合いもあります。より計画的な行動が必要です。

引き継ぎ書を作成しておく

引き継ぎ書とは、前任の担当者から後任の担当者に対し、文章で業務内容等を記入したものを言います。口頭だけでの引き継ぎは、後任者に不安やストレスを与えます。引き継ぎ書を作成しておくことで、のちに不明点が出てきた場合もスムーズな確認が可能です。

引き継ぎ書を作成する場合は、後任者のリテラシーに合わせ、わかりやすい内容にまとめましょう。具体的な業務項目と手順、業務の関係性と取引先を含む関係者の情報も重要です。

会社を辞めるときに起こりうるトラブルと対処法

残念ながら会社を辞めるときに、円満退職とならないケースも存在します。ここでは、次の3つのトラブル事例を参考に、対処法について解説します。

  • 退職届を受理してもらえない
  • 退職日を勝手に決められる
  • 損害賠償を請求される

退職届を受理してもらえない

結論から言いますと、退職届を受理してもらえなくても退職は可能です。雇用期間に定めのない労働者(正社員など)には民法第627条第1項の「退職の自由」があります。退職届提出から2週間経てば、法律上は退職しても問題ありません。

しかし、退職届が受理されないことで「退職金が支払われない」「雇用保険や健康保険の手続きがスムーズに進まない」などのトラブルが発生することも考えられます。退職届が受理されない場合は、上司に相談したり、内容証明郵便で退職届を送ったりする方法がおすすめです。

退職日を勝手に決められる

労働者の意思を無視し、会社が勝手に退職日を決めるケースがあります。本来、退職日は本人と会社の合意のもとで決めるものです。会社が決められるのは、会社都合による退職や定年退職、契約期間終了時などの一部に限ります。

会社が勝手に退職日を設定、変更した際は、発覚した時点で上司に相談しましょう。解決しない場合は、労働基準監督署への相談も効果的です。

損害賠償を請求される

退職時に、会社に損害や不利益を与えた場合、損害賠償請求が発生する可能性があります。会社の不利益には、無断欠勤や退職に伴い社員の引き抜きを行った場合、突然退職し引き継ぎを行わないなど、就業規則に記載されている禁止行為を含むさまざまな内容が当てはまります。

トラブルを避けるためには、就業規則を確認し、引き継ぎをしっかり行うことが大切です。

会社を辞める前に転職活動をスタートしよう

会社を辞める場合は、嘘をつかず話せる範囲の理由を伝えることが大切です。円満退職するには、あらかじめ就業規則を確認し、繁忙期を避けたり引き継ぎ書を丁寧に作成したりといったことも心がけましょう。

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