「転職回数が多い」「派遣やアルバイト・パートなど短期間の勤務を繰り返してきた」などの場合、職歴が増えやすく、履歴書の職歴欄に収まりきらないことがあります。だからといって、勝手に省略するのはNGです。
本記事では、履歴書に職歴欄が書ききれない場合の具体的な対処法と注意事項について解説します。職歴の多さは、経験の多さです。書き方ひとつで採用担当者に与える印象も、大きく変わります。
目次
職歴が多いと採用に不利になる?
職歴の多さと採用の有利・不利は、業界により異なります。例えば、同じ業種でスキルアップのために複数回転職しているケースであれば、経験が豊富な人材だとポジティブに受け止めてもらえることもあるでしょう。
しかし、一般的に採用側は頻繁な転職を見ると「会社に対する忠誠心が低い人ではないか」「当社に来てもすぐに転職するかもしれない」と、不安を感じるケースがあります。職歴の多さをマイナスに捉えられないよう適切に整理・提示し、経験の豊富さをアピールすることが重要です。
履歴書に職歴が書ききれないときの対処法
職歴が多く、書ききれない場合の対処法は主に次の2つです。
- 職歴欄が大きい履歴書を選択する
- 職務経歴書などの別紙に詳細を記載する
具体的な方法について解説します。
職歴欄が大きい履歴書を選択する
履歴書にはさまざまな種類があります。職歴欄が大きく確保されている履歴書を選べば、職歴を簡潔にまとめる必要が減り、書きやすくなるでしょう。特に転職用として販売されている履歴書は、職歴欄が広めです。
Web上で配布されている履歴書テンプレートを使用する方法もあります。WordやExcel形式の場合、自分で自由に職歴欄の追加が可能です。ただ、自分で編集する場合は、全体レイアウトが崩れないように微調整するなどして、体裁を整えてください。
職務経歴書などの別紙に詳細を記載する
履歴書にすべての職歴を記載することが難しいと感じたときは、職務経歴書の応用が便利です。履歴書には概要や直近の数社のみを記入しましょう。すべての職歴と具体的な業務内容、実績などを職務経歴書に記載することで、スッキリとまとまります。
履歴書の職歴欄の最後に「すべての職歴は、職務経歴書に記載しています」「詳細は、職務経歴書をご参照ください」などと記載しておくと、親切です。また職務経歴書の形式は、履歴書の職歴欄と揃えておくと、まとまりが良いでしょう。
職歴を書くポイント
職歴が書ききれない場合、短期間しか働いていない会社など、一部の内容を省略したくなるかもしれません。しかし、書き方を誤ってしまうと採用担当者に非常識だと判断される可能性もあります。職歴を書く際に押さえるべき次の2つのポイントを紹介します。
- 職歴を省略して書かない
- 会社名は省略せず正式名称で記載する
職歴を省略して書かない
職歴がどれだけ多くても、勝手に職歴を省略してはいけません。職歴は企業が応募者を評価するうえで重要な情報です。隠す意図がなかったとしても、省略によって「職歴詐称」「経歴詐称」と判断される可能性もあります。
また、一部を省略することで、履歴書を見た際にキャリアの途切れが生まれる点からも、おすすめしません。職歴が多く書ききれない場合は、一度、勤務先と勤務期間をシンプルにまとめましょう。そのうえで、応募先企業と関連性の高い職歴のみ細かく記載するなど、メリハリのある書き方を心がけると整理できます。
会社名は省略せず正式名称で記載する
職歴を記載するスペースが足りなくても、会社名の省略は避けます。(株)は株式会社、(有)は有限会社と記載します。合併等で現在の社名が異なる場合は、◯◯株式会社(現△△株式会社)のように記載すると親切です。
正式な企業名を記載することで、第三者チェックなどの職歴の確認がスムーズに進みます。また、転職だけでなく異動により部署が変わった場合も、可能な限り記載しましょう。
履歴書に職歴が書ききれないときの7つの注意点
履歴書のスペースが足らず、職歴が書ききれない場合、試していただきたいのが次に紹介する方法です。書き方を工夫することで、うまく収まるケースもあります。
- 学歴は高校卒業から記載して職歴に割り当てる
- 職歴と学歴の間は空けずに埋める
- 直近の職歴以外は職務経歴書にまとめて記載する
- 入社と退社を一行にまとめて記載する
- 配属先・業務内容などの詳細は記載しない
- 「現在に至る」と「以上」を同じ行にまとめる
- 派遣先や派遣元をまとめて記載する
具体的な方法について、1項目ずつ解説します。
学歴は高校卒業から記載して職歴に割り当てる
義務教育である小中学校の学歴は、履歴書に記載しなくても問題ありません。また、高校時代は、成績や資格、留学経験等、キャリアに関連する情報がある場合のみ、積極的に記載しましょう。一方、高校時代に特筆すべき内容がなければ、私立◯◯高等学校 △△科卒業のように1行にまとめておきます。
大学の場合、記載すべき内容は、大学名、専攻、取得した学位、入学時・卒業年です。職歴に必要なスペースを割けるよう、シンプルにまとめます。中退の場合も必ず記載しましょう。
職歴と学歴の間は空けずに埋める
履歴書の書き方の見本では、学歴と職歴の間が1行空いていることが多いです。採用担当者が読みやすいようにという配慮ですが、職歴の多さからすべてが書ききれない場合は、空白行を削除し、詰めて書いても構いません。
不要な空白を減らし、情報をコンパクトにまとめることで、職歴欄のスペースを有効活用できます。
直近の職歴以外は職務経歴書にまとめて記載する
履歴書と職務経歴書は、上手に使い分けましょう。例えば、履歴書には直近の数社を記載し、古い職歴は期間と勤めた会社の数のみ(例:大学卒業後、2020年まで5社勤務)とする方法です。この場合、履歴書で省略した内容を職務経歴書に記載します。
また、転職とひとことでいっても20代と40代では、キャリアの長さが異なります。長いキャリアを持つ応募者であれば、直近の5〜10年の職歴に焦点を当てても良いでしょう。時系列ではなく、応募職種に関連性の高い経験のみを履歴書に記載し、その他の経験を職務経歴書にまとめる方法もあります。
入社と退社を一行にまとめて記載する
各職歴の入社年月と退社年月は、本来1行ずつ記載するものです。しかし、行が足りなければ、1行にまとめましょう。下記の2種類を比べた場合、整理されてすっきりとした印象を与えることがわかるはずです。
2020年4月 株式会社◯◯入社 |
2022年3月 株式会社◯◯退職 |
▼
2020年4月 株式会社◯◯入社(2022年3月退職) |
また、年だけでなく月まで正確に記載することで、キャリアの連続性が示せます。
配属先・業務内容などの詳細は記載しない
履歴書は、概要のみなど極力シンプルな内容にまとめます。履歴書は職種や役職レベルだけを簡潔に記載し、配属先や業務内容などは、職務経歴書に記載する形でも差し支えありません。ただ、応募先にPRしたい重要なプロジェクトや実績、成果がある場合は、職務経歴書で強調します。
社内での異動に関しては、応募先に関連性が高ければ記載、関連がない場合は省略という形を選びましょう。
「現在に至る」と「以上」を同じ行にまとめる
履歴書では、「現在に至る」「以上」を別々の行に書くことが多いです。
年 | 月 | 職歴 |
2023 | 4 | 株式会社◯◯入社 |
現在に至る | ||
以上 |
しかし、この書き方では入社以外に2行分のスペースが必要です。1行にまとめる方法と、入社と同じ行に記載する方法は、次のとおりです。
年 | 月 | 職歴 |
2023 | 4 | 株式会社◯◯入社 |
現在に至る 以上 |
▼
年 | 月 | 職歴 |
2023 | 4 | 株式会社◯◯入社(現在に至る 以上) |
スペースが足りないからと「現在に至る」「以上」を省略することは避けます。採用担当者がルールを無視しているとマイナスの印象を抱く可能性があるためです。
派遣先や派遣元をまとめて記載する
派遣社員としての経歴は、派遣元と派遣先の記載が必要です。下記のように、登録した派遣会社と実際の勤務先(派遣先)を記載します。可能であれば部署名や職務内容、役割も簡潔にまとめましょう。
下記は、まとめ方の例です。派遣元を株式会社◯◯、派遣先を△△株式会社、株式会社×◯にて表しています。
年 | 月 | 職歴 |
2020 | 4 | 株式会社◯◯に登録 |
△△株式会社にて経理事務として就業(2022年12月まで) | ||
株式会社×◯にて一般事務として就業(2023年12月まで) | ||
2023 | 12 | 派遣期間満了により退職 |
「派遣期間満了につき退職」の文言は、派遣先が変わるごとに書く必要はありません。
また、派遣元や派遣先が多すぎて書ききれない場合は、派遣元への登録期間だけを記載し、詳細は職務経歴書にある旨を記載します。経験の多様性をアピールするためにも、派遣先の業種や職種は特に明確にする必要があります。
正しい職歴の書き方を把握して書類のミスを防ごう
職歴が多く、履歴書の職歴欄に書ききれない場合は、職務経歴書を併用したり、「現在に至る」「以上」を同じ行にまとめたりといった工夫が必要です。
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