SES(システムエンジニアリングサービス)は「やめとけ」との意見が少なくありません。一方で、未経験でも転職しやすく、実務経験を積める職種でもあります。

そこで今回は、SESが「やめとけ」と言われてしまう5つの理由を解説します。SESに転職する魅力やSESが向いている人、そうでない人の特徴もご紹介しますので、SESへの転職をお考えの方は参考にしてください。

SESが「やめとけ」と言われる理由

SESへの転職は「やめとけ」と言われる主な理由は、以下の5つです。

  • 案件ごとに業務手順やルールを覚えなければならない
  • 十分な教育・研修制度が整っていない場合が多い
  • スキルを磨きづらい
  • 窮屈さを感じやすい
  • 給料が低い傾向にある

それぞれ、具体的に解説します。

案件ごとに業務手順やルールを覚えなければならない

SESは客先常駐して業務を行うため、業務が変われば異なるクライアントに常駐しなければならず、プロジェクトごとに特有の業務手順やルールを学ばなければなりません。使用されるツールやシステム、プロジェクト管理方法は都度異なるため、頻繁に適応が求められます。

短期間で多くの新しい知識やスキルを習得する必要があり、他のエンジニア職に比べて安定したスキルの習得が難しくなる点から「やめとけ」と言われることが多いです。

十分な教育・研修制度が整っていない場合が多い

現場に出る前に必要な基礎知識や実践的スキルを習得する機会が限られているのも、「やめとけ」と言われる理由です。一般に、SESでは十分な教育・研修制度が整っておらず、技術スキルの向上や最新技術の学習に対する公式なトレーニングが提供されないことがほとんどです。

したがって、多くの場合、プロジェクト管理やコミュニケーションスキルの育成に対する体系的な教育が不足したまま、客先で業務を行わなければなりません。特に、客先の常駐人数が1、2名である場合は、学習の機会は期待できないでしょう。

スキルを磨きづらい

常駐中はクライアントの求めるスキルセットに依存して業務を行いがちで、自分が希望するスキルを計画的に習得するのが難しくなります。教育・研修制度が整っていない場合は、業務とは別に自分で学習時間を確保しなければならず、スキル向上が遅れる点も理解が必要です。

常駐先によっては雑務を任されることもあるため、エンジニアとしてのキャリアアップを目指す方にとっては、長期的にみて経験がマイナスになる可能性もあります。

窮屈さを感じやすい

SESでは、クライアントの指示や既存の業務フローに従う必要があり、自分の裁量や創意工夫が制限されてしまいます。職場環境についても、クライアントの企業文化やルールに適応しなければならず、自分の働き方や価値観と合わないこともあるでしょう。

また、業務スタートにあたり客先ごとに人間関係を一から構築し直す必要があります。コミュニケーションが苦手な場合は、クライアント企業の正社員との間に距離感を感じ、組織内での孤立感を覚えるかもしれません。

給料が低い傾向にある

SES企業のビジネスモデルは、クライアント企業の業務を請け負い、自社のエンジニアを派遣して業務を遂行する仕組みです。そのため、SES企業はエンジニアの給与を抑え、利益率を確保する傾向があります。また、エンジニアの給与はクライアント企業からの派遣料金に左右されるため、安定した高収入を得にくいというデメリットもあります。

さらに、SESエンジニアの評価は、客先企業ではなくSES企業が行います。プロジェクトが頻繁に変わるため、SES企業によっては安定した昇給やボーナスの支給がない場合もあり、これも「やめとけ」と言われる理由の一つです。

SESの魅力

「やめとけ」と言われることも多いSESですが、魅力も存在します。

  • 未経験でも転職しやすい
  • さまざまなことを経験できる
  • 大企業とつながりを持てる可能性がある
  • ワークライフバランスを実現しやすい
  • たくさんの人と関われる

未経験でも転職しやすい

SESは、エンジニア職未経験者でも転職しやすいことが大きな魅力です。一般的に、IT業界では専門知識や経験が重視され、経験者が優遇される傾向にあります。しかし、SES企業では、エンジニアのポテンシャルや意欲を重視した採用が行われるため、未経験者でも比較的採用されやすいです。

前述したように、SESは客先常駐型の働き方であり、プロジェクトの期間が比較的短い場合が多いです。そのため、コミュニケーション能力や現場での対応力などが、採用選考において重視される傾向にあります。

IT企業への就職を目指す以上、基礎的なIT知識やプログラミングスキルを身につけておくことは、大きなアドバンテージになります。未経験からSESを目指す場合は、オンラインスクール「NINJA CODE」などを活用して、仕事と両立しながら実践的なプログラミングスキルを習得することもおすすめです。

さまざまなことを経験できる

SESでは業種や分野が異なる複数のクライアント企業のプロジェクトに参画するため、多様な技術、業務フロー、チーム構成に触れる機会があります。異なる業界やビジネスモデルを経験することで、短期間で幅広い業界知識やビジネスセンスを身につけることができるでしょう。

また、多様なプロジェクトに参加することで、ITスキルだけでなく、問題解決能力、適応力、コミュニケーション能力なども向上し、総合的な成長を遂げられるでしょう。

大企業とつながりを持てる可能性がある

SES企業は多くのクライアント企業と契約を結んでおり、中には大手企業のプロジェクトに参画する機会もあります。これは、SESとして働く大きなメリットの一つです。

大企業の社員と協力して働くことで、貴重な人脈を築き、大企業の業務プロセスや文化を学ぶことができます。また、最新技術や大規模プロジェクトに携わることで、スキルや知識を飛躍的に向上させることも可能です。

さらに、大企業では、快適なオフィス環境や充実した福利厚生などのメリットも享受できる場合があります。このような環境は、業務に対するモチベーション向上にも繋がるでしょう。

ワークライフバランスを実現しやすい

SESでは、常駐先や勤務時間が比較的柔軟に調整できる場合が多く、リモートワークやフレックスタイム制などを活用することで、ワークライフバランスを実現しやすいというメリットもあります。

プロジェクトの期間が比較的短いため、さまざまな勤務環境や業務内容を経験することで、特定の業務に偏ることなく、ストレスを軽減できる場合があります。SESは自身のライフスタイルに合わせて柔軟な働き方を選択できるため、仕事とプライベートのバランスを保ちやすい働き方と言えるでしょう。

たくさんの人と関われる

SESでは業務形態の特性上、SES企業の社員だけでなくクライアント企業の社員とも関わる機会が多く、幅広い人脈を築くことができます。複数のプロジェクトに参画することで、さまざまな企業やチームメンバーと協力して仕事を進める経験を積めるでしょう。

業務を通じて、さまざまな業界や職種の専門家と意見交換することで、多様な視点や知識を得ることができます。また、他のエンジニアやITプロフェッショナルとのネットワークを構築することで、新たなキャリアチャンスやプロジェクトへの参加機会が広がる可能性もあります。

SESに向いている人・向いていない人の特徴

ここまで解説したように、SESにはメリットもデメリットもあります。ここでは、SESに向いている人と向いていない人の特徴をそれぞれ解説します。

SESに向いている人の特徴

SESが向いている人の特徴は、以下の通りです。

  • 変化に対して柔軟に対応できる能力を持つ人
  • 常に新しい技術や知識を学び続ける意欲がある人
  • コミュニケーション力が高い人
  • チームワークを大切に考えられる人

SESではプロジェクトごとに異なるクライアント企業に常駐し、業務を遂行します。そのため、多様な環境での業務や、さまざまなバックグラウンドを持つ人々との協働が求められます。

新たな環境でも柔軟に対応し、良好な人間関係を築けるコミュニケーション能力や、チームワークを重視できる姿勢は、SESで活躍するために不可欠な要素と言えるでしょう。

SESに向いていない人の特徴

SESが向いていない人の特徴は、以下の通りです。

  • 環境変化が苦手な人
  • 安定した職場環境を重視する人
  • 自己研鑽や新しい技術の習得に対する意欲が低い人
  • コミュニケーション能力が低い人
  • 他人との協働が苦手な人

SESではプロジェクトごとに常駐先が変わるため、職場環境や人間関係が頻繁に変化します。安定した環境を好む人や、コミュニケーションが苦手な人は、ストレスを感じやすいでしょう。

さらに、クライアント企業によって業務内容やルールが異なるため、新しいことを学ぶ意欲が低い人にも向いていないでしょう。

SESの転職を成功させよう

SESは、プロジェクトごとに異なるクライアント企業に常駐する働き方です。スキルアップの機会が限られていたり、業務負担が大きかったりする場合があるため、「やめとけ」と言われることもあります。

一方で、ポテンシャル採用により未経験者でも転職しやすく、ワークライフバランスを調整しやすいというメリットもあります。また、大手企業のプロジェクトに参画する機会や、多くの人と関わる機会があり、さまざまな経験を積むことができるのも魅力です。

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