ホワイトハッカーに興味があるものの、自分に向いている仕事なのかと気になる方もいるでしょう。ホワイトハッカーは、システムやサーバー・ネットワークに対する攻撃への対策を行いサイバーセキュリティを強化する職種です。ITエンジニアからホワイトハッカーになる方も少なくありません。
今回は、ホワイトハッカーの主な役割や概要、仕事内容の他、ホワイトハッカーに向いている人の特徴を解説します。ホワイトハッカーに活かせる資格もご紹介しますので、参考にしてください。
目次
ホワイトハッカーとは?
ホワイトハッカーとはどのような役割を果たすのでしょうか?ブラックハッカーとの違いやセキュリティエンジニアとの違いと合わせて解説します。
主な役割
ホワイトハッカーの主な役割は、サイバーセキュリティを強化することです。脆弱性を見つけて該当箇所の修正を提案します。
近年、個人情報を含めたさまざまな情報をネットワークやシステム上で管理している企業が増えています。その一方で、悪意を持ったハッカーによるサイバー攻撃や不正アクセスが絶えません。
そこで活躍するのがホワイトハッカーであり、企業や組織の情報資産を守るための対策を行う専門家ともいえます。
ブラックハッカーとの違い
ホワイトハッカーとブラックハッカーとの違いは、善意もしくは悪家でIT知識や技術を利用する点です。
ブラックハッカーは悪意を持ってシステムに侵入し、情報を盗んだり破壊したりする存在です。一方、ホワイトハッカーは法律に則り、企業の同意を得てセキュリティ診断を行う立場にあり、適法に知識や技術を利用してトラブルの解決を試みます。
セキュリティエンジニアとの違い
ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの違いは、業務領域や専門性にあらわれます。
セキュリティエンジニアは、システムやネットワークの防御を構築・管理する専門家です。一方、ホワイトハッカーは、既存のシステムの弱点を見つけることに特化していることが多いのが違う点です。
ただし、ホワイトハッカーは、セキュリティエンジニアとして扱われることもあり、大きな違いはありません。
ホワイトハッカーの仕事内容
ホワイトハッカーの仕事内容は、主に以下の5つです。
- ペネトレーションテスト
- 脆弱性診断
- 不正侵入調査
- セキュリティ設計
- 保守・アップデート
それぞれの業務を解説します。
ペネトレーションテスト
ペネトレーションテストはペンテストや侵入テストとも呼ばれるテスト手法の一つで、システムの脆弱性を突いて侵入する実際の攻撃を模倣し、システムやサーバーなどの安全性を確認します。
ペネトレーションテストを実施する際は、攻撃者の視点からの分析を行い、実際の攻撃を想定したうえでセキュリティ対策を強化します。
脆弱性診断
脆弱性診断とは、システムやアプリケーションの脆弱性を発見し、報告する業務のことです。企業で利用しているネットワークやシステムにインストールされているOS、ミドルウェアなども診断対象です。
脆弱性診断では、CVSSと呼ばれる共通情弱性評価システムにのっとり、脆弱性のカテゴリ(種類)、危険度、重要度を確認してその脆弱性のランクをつけます。この評価結果はセキュリティパッチの適用や設定の見直しを提案する際に役立てられます。
不正侵入調査
不正侵入調査とは、不正アクセスの痕跡を追跡し、攻撃の手法や被害を調査する業務です。
システムやサーバー、アプリケーションなどに不正侵入が行われた場合はもちろん、その兆候が発見された場合にも不正侵入調査が行われ、インシデントの原因分析や被害の大きさ、深刻さなどを調査します。
また、調査結果をもとに再発防止策の提案を行うこともホワイトハッカーの仕事です。
セキュリティ設計
セキュリティ設計は、新しいシステムやアプリケーションを設計する際に、セキュリティを考慮した設計を行う仕事です。
サイバー攻撃や不正侵入、ウイルス感染などあらゆる攻撃を想定したうえで、なおかつシステムやアプリケーションの運用形態を理解してリスク評価を行い、安全なシステムやアプリケーションの構築を支援します。
なお、攻撃は外部に限らず、企業や組織の内部が原因となることもあります。セキュリティ設計においては、内外に限らず発生源を特定できる設計を行うことが重要です。
保守・アップデート
セキュリティ対策を行ったシステムやアプリケーションなどの保守やアップデートを行うこともホワイトハッカーの仕事です。システムのセキュリティ対策は一度行えば終わりというわけではなく、定期的に見直し、更新を行うことが重要です。
最新の脅威情報を基にした対策を常にアップデートすることが求められ、状況に応じたアクセス権限や閲覧制限の調整なども含まれます。
ホワイトハッカーに向いている人の特徴
ホワイトハッカーに向いている人の特徴は、以下の3つです。
- 探求心がある
- 責任感がある
- コミュニケーション能力がある
ホワイトハッカーを目指したい場合は、これらの特徴に自分が当てはまるかを確認して適性があるかを調べると良いでしょう。
探求心がある
ホワイトハッカーに向いている人の特徴の一つは、探究心があることです。新しい技術や手法、学びに対して積極的に興味を持ち、能動的に調べたり学んだりすることに対する好奇心が旺盛である人がホワイトハッカーに向いています。
具体的には、脆弱性や攻撃手法についての理解を深める意欲が強い人が向いているといえるでしょう。
責任感がある
責任感がある人もホワイトハッカーに向いています。例えば、セキュリティの確保に対する責任感を持ち、業務を遂行する意識が高い人が挙げられます。
責任感がある人は、クライアントや組織の信頼を裏切らないことを心がけて行動できるのが特性です。特にホワイトハッカーは、企業や組織を守る目的で行動するため、高い倫理観を持ち合わせていることが求められます。
コミュニケーション能力がある
コミュニケーション能力があることも、ホワイトハッカーに向いている人の特徴です。なぜなら、ホワイトハッカーの業務は一人で行うものではなくチームで動くため、意思疎通や情報共有が必要だからです。
また、クライアントが何を望んでいるのか、いつまでにどのようなセキュリティを対策したいのかを把握するには、的確な対話やコミュニケーションが求められます。たとえクライアントがセキュリティに関して知識を有していない場合であっても、技術的な内容を分かりやすく説明できる能力がホワイトハッカーには必要です。
ホワイトハッカーに活かせる資格6選
ホワイトハッカーに活かせる資格は、以下の6つです。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント
- 情報処置安全確保支援士
- CEH(認定ホワイトハッカー)
- CompTIA Security+
各資格の概要を解説します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験はITの登竜門とも呼ばれ、ITの基本的な知識を持つことを証明する資格です。IT業界における基礎力を示すため、キャリアのスタートに適しています。
なお、基本情報技術者試験はIT分野の基礎知識を問われる一方で、情報セキュリティに特化した出題ではありません。あくまで、経験の浅い状態からホワイトハッカーを目指す場合に最適な資格です。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりも難易度が高い上級の視覚で、ITの応用的な知識を持つことを証明する資格です。
応用情報技術者試験では、技術や管理・経営を含めたIT分野全般の応用知識が問われます。合格することで、より高度な技術力や専門性をアピールすることができるでしょう。
情報セキュリティマネジメント
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティの管理や運営に関する知識を示す資格です。取得により、組織全体のセキュリティ戦略に貢献できるスキルを証明できます。
情報セキュリティマネジメント試験で問われるのは、企業や組織一般の情報セキュリティの確保や外部攻撃などの脅威からシステムなどを守るための知識です。情報セキュリティに特化しているため、ホワイトハッカーに向いています。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、情報の取り扱いやセキュリティに関する専門知識を証明する資格です。セキュリティ支援のプロフェッショナルとしての認識を得るために、転職活動などで有利に働きます。
情報処理安全確保支援士では、IT分野の全般的な知識、コンサルティング知識、情報セキュリティ知識、技術、関連法律に関する知識を問われます。
CEH(認定ホワイトハッカー)
CEHは、ホワイトハッキングに特化した国際的な資格であり、倫理的なハッキング技術や実践的なスキルを有することを示します。
海外での認知度が高く、経済産業省が発行する情報セキュリティサービス基準の中でも「脆弱性診断サービスの提供に必要となる専門性を満たす資格」との扱いを受けています。
CEHの出題範囲は幅広く、情報セキュリティと倫理的ハッキング、技術偵察、ハッキングの攻撃手法、ネットワーク、アプリケーション、IoT、クラウド、暗号化など多岐にわたります。
CompTIA Security+
CompTIA Security+は、基本的なセキュリティ知識を持つことを証明し、初心者から中級者のエンジニア向けのセキュリティ関連スキルを示すための有力な国際資格です。
CompTIA Security+で出題されるのは、攻撃、脅威、脆弱性、アーキテクチャと設計、実装、運用、コンプライアンス、リスクなどです。初心者でも目指しやすいレベルなので、これからホワイトハッカーを目指したい方は取得を検討すると良いでしょう。
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ホワイトハッカーは、システムやアプリケーションなどのサイバーセキュリティを強化するために、脆弱性を発見して修正を提案する役割を果たします。
ホワイトハッカーに向いている人の特徴は、探究心や責任感があることです。高度なセキュリティを保つためには、システムなどのセキュリティを定期的に見直したり最新のセキュリティにアップデートしたうえで、必要があれば、改善を行わなければなりません。また、万が一不正アクセスなどのインシデントが発生した場合には迅速に対応し、再発防止に努める必要があるからです。
クライアントやチームメンバーに対して情報共有や説明をしなければならないため、コミュニケーション能力がある人もホワイトハッカーに向いてます。
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