「転職先が決まってから退職したいが、伝え方が難しそう」と悩んでいる方もいることでしょう。退職には、伝え方を含むいくつかのポイントがあるものの、ポイントさえ押さえればスムーズな退職が実現可能です。

本記事では、円満退職に向けて押さえるべきポイントと転職先が決まってから退職するメリットについて解説しています。

転職先が決まってから退職するときの伝え方とは

在職中に転職活動を行い、転職先を決めるケースは珍しくありません。ただ、会社に対しては丁寧に退職の意思を伝える必要があります。まずは、円満退職を目指すための伝え方の例文と退職時のマナーについて解説します。

伝え方の例文

スムーズに退職を受け入れてもらうためには、感謝の意を示し、明確に理由を伝えることが大切です。

【例文】

大変急なことで申し訳ありません。学生時代からの夢であった◯◯業界にて、転職先が決まりました。入社から◯年、□□や◯◯のプロジェクトに携われたことは、本当に良い経験でした。大変感謝しております。精一杯引き継ぎを行いたいと思っておりますので、◯月末での退職の段取りについて、ご相談させてください。

転職先については、具体的な企業名を出す必要はありません。業界、分野などの表現にとどめておきます。特に同業他社への転職の場合は、要注意です。

退職時のマナーを守ろう

最初に退職の意向を伝える相手は、直属の上司です。事前に「ご相談したいことがあるので、お時間を作っていただけませんか」といった形でアポイントを取ります。その後、会議室など、他の人に聞かれる心配がない場所で、退職の意向を伝えるようにしましょう。テレワーク実施企業の場合は、ZoomなどのWeb会議ツールを活用しても構いません。

退職の意思を伝える方法は、メールではなく、対面が基本です。退職の意思や希望退職日、現在の業務状況なども共有します。必ず感謝の気持ちを伝え、丁寧かつ誠実な態度で話しましょう。ネガティブな退職理由などは伝える必要はありません。

転職先が決まってから退職の意思を伝えるメリット

先に転職先を決めることで、空白期間なく働くことができます。健康保険などの手続きもスムーズに進み、収入面での心配も不要です。転職先が決まってから退職の意思を伝えるメリットについて解説します。

ブランクがないためスムーズに業務に就ける

転職先を決めてから退職する大きなメリットは、職歴にブランクが発生しない点です。退職後に転職活動を始めた場合、すぐに転職先が決まらない可能性もあります。将来的なキャリア形成を考えた場合や、さらにその先の転職を見据えた場合、ブランクはできるだけないほうが良いでしょう。

また、無職期間が続くと、日常生活が不規則になり仕事へのモチベーションが低下しやすくなります。ブランクなく働くことで、肉体的・精神的にもスムーズに働けるでしょう。

収入面での心配がない

退職後、就職活動を始めると収入が途切れます。自己都合退職の場合、すぐに失業保険を受給できないため、貯金を切り崩しながら生活しなければなりません。もちろん、すぐに転職先が決まれば良いのですが、想定外に転職活動が長引く可能性もあります。

在職中に転職活動を進めることで、収入面の心配なく、転職活動が可能です。生活基盤が安定していると、精神的にも余裕が生まれ、条件面などもしっかり確認しながら転職活動ができるでしょう。

退職の意思を伝えるポイント

退職の意思を伝える方法を誤ってしまうと、円満退職が難しくなります。トラブルなく、退職・転職できるよう、下記ポイントについて順を追って解説します。

  • 上司にアポを取って面談する時間をもらう
  • 退職希望の旨を口頭で伝える
  • 引き止められても意思表示をし続ける
  • 遅くても1ヵ月前には伝える

上司にアポを取って面談する時間をもらう

転職先が決まり、退職の意思を固めたら、直属の上司にアポを取り、面談の時間を設けてもらいます。ここでの直属の上司とは、普段、あなたに業務指示を行う立場の人を示すため、チームリーダー等が当てはまるケースもあります。

アポとりは、口頭、電話、メール、いずれの方法でも構いません。上司の都合を確認したうえで、対面で退職の意思を伝えるようにしましょう。また上司に伝える前に、同僚や先輩、役員などに伝えることはNGです。

退職希望の旨を口頭で伝える

上司が時間を作ってくれたら、面談の場で、まず退職の意思を伝えます。退職する理由は「一身上の都合」でも構いません。上司との関係性や会社の雰囲気によっては、正直に転職先が決まったことを伝えても良いでしょう。転職先が決まっている場合、引き止められないといったメリットもあります。

理由を問わず、退職希望日と現在自分が抱えている業務内容については、しっかりと伝えることが大切です。ただし、伝え方は、あくまで退職「希望日」であり「◯月◯日に退職します」と言った断定系は避けましょう。「申し訳ございませんが、◯月◯日の退職を希望しています」といった形で伝え、上司の理解を求めることが大切です。

引き止められても意思表示をし続ける

退職の意思を伝えると、待遇改善や部署異動などを条件に引き止めに合う可能性があります。ただ、どのような条件を出されたとしても、揺らぐことなく退職を希望する旨を伝えましょう。

転職先が決まっている場合は、引き止めに合う可能性が低くなるものの、ゼロではありません。あなたの能力を高く買ってくれているからこその引き止めだとしても、感情に流されることなく、意思を貫きましょう。

遅くても1ヵ月前には伝える

退職の意思は、遅くても退職希望日の1ヵ月前までに伝えることがマナーです。会社側は、引き継ぎや後任の手配、場合によっては人の補充に向けた求人など、やるべきことがたくさんあります。

スケジュールに余裕がなければ、引き継ぎの際にもギスギスとした雰囲気で働かなければならないかもしれません。同僚や後輩への負担を減らし、円満退職を目指すためにもできる限り早い段階で退職の意思を伝えましょう。うまく日程調整ができれば、残っている有給も消化しやすくなります。

退職するときの注意点

上司に退職の意思を伝えたら、退職までのスケジュールを組み、下記の準備を進めていきましょう。

  • 退職までに引き継ぎを済ませておく
  • 必要な退職手続きを行う
  • クライアントや関係者に挨拶まわりをする
  • 有給を消化する

退職までに引き継ぎを済ませておく

退職日までに、後任者に自分の担当業務の引き継ぎを行います。業務マニュアルを作成しておくと、引き継ぎがスムーズに進みます。また、資料・情報の共有はもちろん、一緒に業務を行い、後任者の不安や疑問点を解消することが大切です。

マニュアルを作成することで、日々の業務だけでなく、年に数回のみ行う手続きなども併せて整理できます。できるだけ抜けや漏れがないよう気をつけましょう。万が一、退職までに引き継ぎが終わらなかったとしても、後任者がマニュアルを確認すればある程度業務が進む状況がベターです。

必要な退職手続きを行う

退職届の提出や会社からの支給品の返却、保険、年金などの事務手続きを順次進めます。手続き方法は、会社により異なるため、社内規定を確認しましょう。

下記は、会社支給の備品例です。

  • 社員証
  • 名刺
  • 制服・作業着
  • パソコン
  • 携帯電話
  • 文房具
  • 健康保険被保険者証(退職日まで使用できるため郵送で返却)

うっかり持ち帰ってしまうことのないよう、きちんと返却しましょう。

下記は、退職にあたって会社から受け取るものの例です。

  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳

転職先が決まっている場合も、すぐに入社する場合、翌月など少し間が空く場合など、空白期間によって手続き内容が異なります。特に健康保険は、何も手続きをしなければ、退職日の翌日から無保険となるため注意が必要です。

クライアントや関係者に挨拶まわりをする

自分が担当していたクライアントや取引先、関係者に対しては、退職の挨拶を行います。具体的な時期については引き継ぎの段取りを考慮し、上司と相談しましょう。可能であれば、後任の担当者と共に挨拶に出向き、挨拶と紹介が兼ねられるとベストです。

関係性によって、直接訪問、挨拶状の送付、メールなど、挨拶の方法を選びます。直接挨拶以外は、直接訪問ができなかったことのお詫びを入れるのがマナーです。

例え異業種に転職する場合も、これまで培った人間関係は大切にしましょう。円満な形での退職は、今後のキャリア形成に対しても良い影響を与えてくれるはずです。

有給を消化する

有給休暇が残っている場合は、計画的に取得することが望ましいとされています。ただ、退職を申し出たタイミングや、会社の繁忙期・閑散期などのタイミングにも影響されるため、強引な取得は避けましょう。

計画的かつ慎重に退職に向けた準備を進めることで、会社や同僚、チームメンバーへの負担を最小限に抑えることができ、有給も取得しやすくなります。計画的に有給が取得できれば、次の職場への準備もさらにスムーズに進むでしょう。

転職先が決まってから退職すると安心できるのでおすすめ

在職中に転職活動を進め、転職先を決めてから退職することで、収入面や職歴のブランクの心配がなくなります。退職の意思の伝え方や時期などを参考に、スムーズな退職・転職を目指しましょう。

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