退職を希望しているにも関わらず、会社が受理してくれないケースは少なくありません。しかし、辞めたいと思いつつもずるずると同じ会社に居続けることは、人生において時間の無駄です。

本記事では、会社から引き止められないおすすめの退職理由と、引き止められないための注意点などを解説します。ポイントを押さえることで、引き止められるリスクを大幅に下げることは可能です。

上司に引き止められないおすすめの退職理由5選

上司が引き止めにくい、納得しやすい退職理由は、次の5つです。事を荒立てずに、スムーズに退職の話を進めるためにも、自分に合った理由を選びましょう。

  • 身内の介護や引っ越しなどの家庭の事情
  • 結婚や出産などのライフイベント
  • 家業を継ぐ
  • 転職先が決まった
  • 一身上の都合

身内の介護や引っ越しなどの家庭の事情

家庭の事情は、会社が関与できない問題です。退職理由を伝え、事情を汲んでもらえないような会社は、そもそも無理矢理にでも辞めたほうが良いと言えます。

(例文)

・遠方に住む高齢の父が、介護が必要となりました。自宅と◯◯(地方名)を行き来する生活が始まるため、退職を希望します。

・夫の転勤に伴い、家族で引っ越すことが決まりました。引っ越しの準備等もありますので、◯月には退職させていただけますでしょうか。

特に引っ越しなど住居の変更が伴う場合は、早めにおおよその時期を伝えることで、退職手続きや引き継ぎなどがスムーズに進みます。

結婚や出産などのライフイベント

結婚、出産といった個人のライフステージの変化は、会社に受け入れられやすい理由です。お祝いごとのため、会社側にも「おめでとう」と祝福ムードが生まれます。

ただ、近年は育休や産休、時短勤務などの制度が整ってきており、結婚、出産を経て働く人が増えています。会社側から「時短勤務に変更できる」「産休や育休の制度を使ってみては」と言われた場合は「家族で決めた」など、自分だけの意見ではないことを強く伝えましょう。

(例文)

・このたび、結婚することになりました。相手ともよく話し合った結果、結婚を機に退職を考えております。

・◯月に出産を予定しております。安定期に入ったため、ご報告させていただきました。出産後は、育児に専念したいため、◯月での退職を希望いたします。

家業を継ぐ

家業を継ぐための退職は、会社にとっても引き止めにくい理由です。また、事実であっても「今すぐでなくてもいいのでは」「面接のときには、そのような話が出ていなかった」と言われる可能性があります。

その場合は「家族にこのタイミングでどうしてもと急かされた」「家庭の事情で急遽自分が継ぐことになった」と説明しましょう。また、嘘の理由として話す場合、過去に家族の仕事について話した経験があれば、上司が違和感を感じる可能性が高いため注意が必要です。

(例文)

両親が高齢となったため、私が家業を継ぐ決意をしました。大変身勝手でございますが、退職させていただきたく思います。

転職先が決まった

これから転職活動を始める場合、引き止められる可能性があります。しかし、すでに内定をもらっている状態であれば、スムーズに話が進むでしょう。上司は、転職に関する相談がなかったことに対し、不満や寂しさを感じる可能性があります。

しかし、キャリアアップなど前向きな理由であれば、応援してもらえる可能性が高いです。退職を伝える際には、退職希望日も明確に伝えましょう。

(例文)

今後の自分のキャリアを考え、転職活動を行っておりました。◯月より転職先での勤務が始まるため、△月中の退職を希望いたします。□□課長には、大変お世話になりました。退職までの期間、しっかりと引き継ぎを行って参ります。

一身上の都合

退職の理由は、具体的に伝えなければいけないといったルールは存在しません。嘘をつくことに抵抗がある人や、本当の理由が言いにくい人は「一身上の都合」で貫き通すことも可能です。

(例文)

一身上の都合により、退職を希望いたします。ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

ただし、他の理由に比べると理由を突っ込んで質問される可能性があります。何を聞かれても「いや、一身上の都合です」と言い切れる方向けの回答です。

会社が退職を引き止める理由

会社が退職を引き止めるのには、下記のような理由があります。

  • 新たに人を雇うにはコストがかかるため
  • 早急な人員補充が難しいため
  • 上司の責任能力が問われる可能性があるため
  • 能力が高く会社に必要な人材であるため
  • 退職後の生活を心配しているため

会社が退職を引き止める理由として、採用コストや人材育成コスト、労働力不足、管理問題などの会社都合が想定されます。しかし、退職を希望した本人の仕事ぶりを高く評価しているケースや、退職後の生活の心配をしているケースもあるため、一概に「引き止め=会社の勝手な事情によるもの」とは言えない事を知っておきましょう。

上司に引き止められないためのポイント

上司に引き止められないためには、事前準備やタイミングが重要です。下記に、厳守すべきポイントを記載しました。

  • 就業規則を確認しておく
  • 繁忙期を避ける
  • 転職の場合は転職活動をしていることがバレないようにする

就業規則を確認しておく

退職を視野に入れた段階で、会社の就業規則を確認します。会社によって「退職日の◯日前までに伝える」など、独自ルールが設定されているケースがあるためです。30日前(1ヶ月前)と記載されているのであれば、30〜45日前までには伝えましょう。

民法上は2週間前に退職の意思を表示すれば良いとされていますが、円満退職を目指すのであれば、早めの相談・報告が必要です。早めに伝えることで、引き継ぎや有休消化などもスムーズに進められます。

繁忙期を避ける

いつ退職するかは労働者の自由ではあるものの、可能な限り繁忙期や重要なプロジェクトの最中は避けます。特に繁忙期は上司も余裕がなく、チームメンバーも慌ただしく動いていることが多いです。十分な引き継ぎができない状態で退職してしまうと、後味も悪くなります。

配偶者の急な転勤や親の介護など、やむをえない事情の場合を除き、できるだけ繁忙期を避けて退職の意思を伝えましょう。引き継ぎの準備なども、頭の片隅に入れておくことが大切です。

転職の場合は転職活動をしていることがバレないようにする

在籍中の転職活動自体は、違法ではありません。しかし内定をもらう前に会社にバレてしまうと、引き止められる可能性があります。「君が抜けたらみんなが困る」「来期から課長として頑張ってもらう予定だった」などと言われ、決意が揺らぐ可能性も否定できません。

転職活動をしていることは、上司だけでなく同僚・後輩にも秘密にしておきましょう。会社関係の人にバレて、得することは何もありません。

退職理由を伝える際の注意点

すでに内定を獲得するなどして退職日が確定している状態でも、最後まで気を抜いてはいけません。退職理由を伝える際には、下記の注意点を厳守しましょう。

  • 直属の上司に口頭で伝える
  • 曖昧な伝え方は避ける
  • ネガティブなことは言わない

直属の上司に口頭で伝える

退職の意思を最初に伝えるのは、直属の上司です。後日時間をつくってもらえるようお願いし、別の日に口頭で退職したい旨を伝えましょう。電話やメールよりも、対面で話すことで、誠意が伝わりやすくなります。

また退職に関する話を、先に同僚や他部署の上司にすることはNGです。上司の管理責任が問われるケースもあるため、必ず直属の上司に一番に伝えましょう。周囲に人がいない場所、会議室などでの相談がおすすめです。

曖昧な伝え方は避ける

退職の意思は、はっきりと伝えます。「退職しようかどうか考えている」「できれば退職したい」などの曖昧な言い方は避けましょう。退職への迷いを感じさせる発言を聞いた上司は「説得すれば引き止められるのでは」と、引き止めにかかるはずです。退職の意思は固く、取り消すつもりがないと表明しましょう。

また、退職理由に嘘が含まれている場合、特にはっきりと強気で伝える必要があります。曖昧さが増せば増すほど胡散臭さも増すため、逆効果です。

ネガティブなことは言わない

本音は会社に対する不満からの退職であっても、ネガティブな退職理由は避けます。「給料が安いのに残業が多い」「人間関係が複雑で居心地が悪い」といった話をしてしまうと「昇給を検討する」「残業のルールを改善する」「配置転換する」などと提案される可能性もあるためです。

「スキルを高めてキャリアアップしたい」のように、ポジティブ変換した理由を伝えるようにしましょう。前向きな発言は、会社としても引き止めにくいものです。

上司に引き止められた時の対処法

仮に上司が「待遇を改善するから」と引き止めてきた場合も、本当に改善されるかどうかは不明です。「あと半年だけ頑張ってほしい」などの期間延長の提案についても、あなたの貴重な時間が無駄になるだけです。基本的に退職を決意したのであれば、どのような引き止めを受けてもキッパリと断りましょう。

法律上は、14日前に退職届を出すことで受理されます。直属の上司が拒否した場合は、人事課などに相談しましょう。また、退職を希望する旨を伝えたところ「罵詈雑言で拒否された」「数時間にわたって辞めないよう延々と説得された」などのケースもあり、悪質な場合は、退職代行を使う選択肢もあります。

引き止められないように退職理由ははっきりと伝えよう

引き止められないためのおすすめの退職理由には、家庭の事情、ライフイベント、転職先の決定などがあります。特に転職先の内定と入社日決定は、会社も了承せざるを得ないため、引き止められない理由としては最適です。退職理由をはっきり伝えることで、円満退職が見えてくるでしょう。

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