転職面接の自己PRに、コミュニケーション能力をアピールしたいと考えているものの、企業側のニーズや自分の志望職種とのニーズについて気になっているという方もいることでしょう。

本記事ではコミュニケーション能力の定義と合わせて、求められる職種、コミュニケーション能力以外に自己PRに使える強みについて解説しています。

コミュニケーション能力を重視する企業が多い

日本経済団体連合会調査による「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」において、選考にあたって特に重視した点1位は、16年連続「コミュニケーション能力」でした。新卒に限らず、中途採用であっても、この傾向は強いと考えられます。

まずは、コミュニケーション能力を重視する企業が多い理由について押さえておきましょう。

仕事をスムーズに進められるから

仕事におけるコミュニケーションの方法は、対面や電話だけではありません。特にテレワークやリモートワークの普及により、Zoomなどのweb会議ツール、chartworkなどのビジネスチャット、Slack、discordなどの社内コミュニケーションツールなど、やり取りの形が増加しています。

仕事をスムーズに進めるためには、適切な言語化が必要であり、コミュニケーション能力があれば、チーム間の連携向上や業務効率アップが期待できます。また、誤解やミスの軽減も可能です。

職場での良好な人間関係を求めているから

業種・職種にもよりますが、仕事においては、さまざまな立場の人と接することが多いです。一例として、上司や先輩、部下、同僚、取引先、顧客、協力会社、パートナー企業などが挙げられます。

コミュニケーション能力が高ければ、職場で良好な人間関係の構築が可能です。チーム内の雰囲気も良くなり、仕事の効率が上がったり、業績向上に貢献できたりする可能性もあります。またお互いがオープンに対話できる環境下では、ストレスを感じにくくなるでしょう。

自己PRに使えるコミュニケーション能力とは

「自己PR」は、転職面接でよく質問される項目です。「コミュニケーション能力が高い」と述べる前に、改めてコミュニケーション能力の定義について、確認しておきましょう。

合わせて、コミュニケーション能力が高いとはどういった状態であるかも解説します。

文部科学省によるコミュニケーション能力の定義

文部科学省は「コミュニケーション能力」について、次のように定義しています。

いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力

引用:文部科学省 資料5言語能力について(整理メモ)

情報を正確に理解し、相手に正確に伝える力、他者との意思疎通を行う力などもコミュニケーション能力に含まれます。コミュニケーション能力は、言語能力・非言語能力、社会的な場面において適切に行動する能力など幅広い意味が含まれる言葉です。

「伝える・聞く・質問する」ができる状態

コミュニケーション能力とは、自分の意見をしっかりと伝える力だけではありません。相手の意見を聞いて尊重する力や、理解したうえで質問する力を含みます。

例えば、伝えるためには語彙力や相手の理解度に合わせる臨機応変力が必要です。しっかり聞くためには、相手の立場に立つ共感力や理解力も求められるでしょう。わからないことを恥ずかしがらずに素直に質問する力や、自分の意見だけを押し通すのではなくお互いにとって良い着地点を探すための対話力なども必要です。

また、言語以外にも、表情、声の大きさやトーン、身振り手振りなどの非言語能力も、コミュニケーションにおいては重要な要素を占めます。いわゆる「空気を読む力」も、非言語能力のひとつです。

コミュニケーション能力が求められる職種

コミュニケーション能力は、社会人において必要なスキルです。ここでは、特にコミュニケーション能力が強みとなる3つの職種について、理由とともに解説します。

  • 事務職
  • 営業職
  • ITエンジニア

上記の職種への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

事務職

事務職は、社内の各部門・部署との調整業務が多い職種です。来客対応やweb会議など、幅広いシーンでのコミュニケーション能力も必要とされます。書類作成を依頼された際には、作成理由や目的などを質問することで、より意図に沿った書類に仕上がるでしょう。

例えば営業事務であれば、営業職のニーズを理解し、適切なサポートを行う必要があります。常に周囲の動きを意識したうえで、率先して準備することで、円滑に業務が進むでしょう。

営業職

営業職は、顧客との信頼関係を築くために高いコミュニケーション能力が求められる職種です。単に自社製品やサービスの魅力をアピールするだけでなく、顧客の悩みや困りごと、求めている内容を丁寧に引き出す力も必要です。

コミュニケーション能力に加え、プレゼン能力、説得力なども持ち合わせていると、より高い評価を受けやすくなるでしょう。言葉だけでなく雰囲気や表情、声のトーンなども仕事上のコミュニケーションにおいて重要となるポイントです。

ITエンジニア

パソコンに向かって黙々と作業する技術職、職人といったイメージを抱く方がいるかもしれませんが、ITエンジニアは、クライアントに対し明確かつわかりやすい説明をする必要があります。非技術者に対して情報を論理的に共有するためには、コミュニケーション能力は必須です。

またプロジェクト推進には、チームメンバーとの協力も必要です。コミュニケーションスキルの有無によって、仕事の進捗状況は大きく左右されるでしょう。

自己PRに使えるその他の強み

コミュニケーション能力は、人によって解釈が異なる部分もあるため、少し言い換える形で他の強みをPRする方法もあります。下記は、自己PRに使える強みの3つの例です。

  • 主体性をもって仕事ができる
  • チャレンジ精神が強い
  • 適応力が高い

各内容について解説します。

主体性をもって仕事ができる

周囲とコミュニケーションを取りつつ、自ら積極的に行動するようなリーダータイプの人は、主体性を持ち仕事ができることをアピールできます。業務に対する責任感のPRにもなり、面接官側も、入社後はプロジェクトのリーダーとして活躍する姿をイメージしやすいでしょう。

志望企業の社風にもよりますが、自分の独断で動いた、スランドプレーといった印象を与えないよう、周囲との協調性をさりげなくアピールするとより効果的です。

チャレンジ精神が強い

コミュニケーション能力に長けている人は、さまざまな人脈を活用し新しい情報を入手したうえで、積極的にチャレンジする傾向があります。多少の不安を感じたとしても、挑戦する姿勢は、大いに評価されるでしょう。

ただし、無鉄砲なチャレンジは一般的に評価されにくいものです。失敗の理由を分析し、改善して更なるチャレンジを行ったといったエピソードがあればなお良いでしょう。前向きさやポジティブさは、評価のポイントです。

適応力が高い

適応力や共感力の高さは、ホスピタリティを求められる職種において、大きな強みとなります。環境の変化に柔軟に対応し、状況が変化したとしても成果を上げ続けるスキルは、重宝されるでしょう。適応しつつもより良い環境に向けた提案力・改善力があればなお理想的です。

コミュニケーション能力の高さは、多様な価値観や考え方の理解=傾聴力の高さとも言い換えられます。より具体的な表現に変えることで、面接官は入社後の姿をイメージしやすくなるでしょう。

自己PRの方法に不安があるなら転職サービスを活用しよう

コミュニケーション能力は、多くの企業が求めるスキルです。「伝える・聞く・質問する」の3つを基本に、理解力や対話を通じて理解を深める姿勢なども含まれます。自己PRのひとつとして有効ではありますが、「コミュニケーション能力に自信がある」と伝えることで、面接時のハードルが上がることも理解しておきましょう。

自己PRについて悩んでいる方は、転職サービスを活用し、相談する方法が効果的です。また、ダイレクトリクルーティング「HUGAN」に無料登録し、企業からのスカウトを待つといった方法もあります。