将来の予測がつきにくい現代において、経済社会の急速な変化に対応するため、キャリア形成の重要性が増しています。しかし、「キャリア形成という言葉はよく聞くけれど、具体的に何をすればいいのかわからない」という方もいるでしょう。

そこで今回は、キャリア形成の概要とそのメリットを解説します。実際にキャリア形成に取り組む手順やキャリア形成のポイントも説明するので、参考にしてください。

キャリア形成とは

キャリア形成とは、個人が仕事を通じて経験やスキルを蓄積し、自己実現を追求するプロセスのことです。

キャリア形成の定義を考えるにあたり参考になるのが、厚生労働省の報告書です。厚生労働省では、キャリアを次のように定義しています。

 「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。

出典:厚生労働省|「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書

この前提を踏まえると、キャリア形成とは単に働くだけでなく、自身の「将来の姿」を明確にイメージし、その目標に向かって行動を重ねていくことを指します。

キャリア形成のメリット

キャリア形成は、個人が人生において取り組むべきプロセスであり、以下のようなメリットがあります。

  • キャリアプランが明確になる
  • 自己分析に繋がる
  • 転職活動に役立つ

キャリアプランが明確になる

キャリア形成に取り組めば、キャリアプランが明確になり、業務やスキルアップのモチベーションが向上します。長期的な視点で計画が立てやすくなり、目標達成に向けた具体的なアクションが起こしやすくなるでしょう。

さらに、キャリア形成は、自身の市場価値を高めることにもつながります。市場価値が高まれば、より良い条件での転職や昇進のチャンスも広がり、キャリアの選択肢が増えるでしょう。

自己分析に繋がる

キャリア形成は自己分析にもつながります。キャリア形成を考える際は、過去の経験を振り返ったり、得意なことと不得意なことを分析するためです。これらの情報を明確にすることで、自分に適した職業や職務を見つけやすくなります。

自分の価値観やライフスタイルを考慮して、満足度の高い働き方を見極めることができるのもメリットといえるでしょう。また、現在不足しているスキルや経験を将来的に補うための具体的な学習計画の立案にも役立ちます。

転職活動に役立つ

キャリア形成は転職活動にも役立ちます。キャリアプランが明確になれば、自分に適した職種や業界を把握できるからです。

例えば、ソフトウェア開発者として5年間働いたあと、プロジェクトマネージャーを目指すキャリアプランを立てている場合、技術力だけでなくリーダーシップスキルも重視する企業を探すことができます。また、将来的にAI分野に特化したいと考えているエンジニアなら、機械学習やデータサイエンスの技術を活用している企業に焦点を当てることができるでしょう。

キャリア形成の手順

キャリア形成は、一定の手順に沿って行うことで成功率が向上します。ここでは、代表的な5つの手順を解説します。

  • 「Will」「Can」「Must」のフレームワークを使う
  • どのような姿になりたいかを考える
  • 理想の自分になるための計画を立てる
  • 計画の実行に必要なスキルの習得や勉強を始める
  • 定期的に振り返る

「Will」「Can」「Must」のフレームワークを使う

キャリア形成に役立つのが、情報整理のための「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(しなければならないこと)」のフレームワークです。自分の理想像や強み、企業の求める役割や期待などの情報を具体化して整理します。

  • Will:自分が将来どのようなことをやりたいか、どのようなキャリアを築きたいかを明確にする
  • Can:現在持っているスキルや経験、強みを客観的に評価し、自分にできることを確認する
  • Must:自分の属する組織や社会が求める役割や期待に対して、自分がどのように応えられるかを考える

どのような姿になりたいかを考える

Will、Can、Mustを基に、自分の価値観や興味、強みを理解して、それに基づいてどのような姿になりたいのかといった将来の理想像を描きます。

続いて、将来の理想像から逆算的に考えて、到達するために必要な目標やマイルストーンを設定しましょう。キャリアビジョンを明確にして落とし込めば、日々の行動や学習に対するモチベーションが高まります。

理想の自分になるための計画を立てる

次に、理想の自分になるための計画を立てます。将来の理想像を明確にして、到達するために必要なスキルや経験を洗い出す必要があります。

さらに、洗い出したスキルや経験を獲得するための具体的な行動や学習内容をステップごとに計画しましょう。計画立案のコツは、短期、中期、長期の目標をそれぞれ設定して、進捗を定期的に確認することです。必要に応じて計画を修正してください。

計画の実行に必要なスキルの習得や勉強を始める

計画を立案できれば各行動の実行に必要なスキルの習得や勉強を始めましょう。どのようなスキルや知識が必要なのかを特定し、具体的な勉強やトレーニングを設定します。専門書を読む、オンラインコースを受講する、資格試験に挑戦する、業務経験を積むなどの詳細なアクションを決めましょう。

なお、行動をキャリア形成につなげるためには、学習進捗の定期的な確認が必要です。目標に向けて順調に進んでいるかを評価し、進んでいない場合は原因を特定して改善してください。

定期的に振り返る

キャリアプランは作成、実践するだけで終わるのではなく、一定期間ごとにキャリアプランの進捗を評価することが大切です。成功した点や改善が必要な点を明らかにしてください。振り返りによって得られた教訓や経験は次のステップに活かし、効果的なキャリア形成を行いましょう。

また、自分の成長や価値観の変動、職場環境など、仕事に関する環境は変動します。定期的な自己評価により、目標の達成度や新たに必要なスキルを確認して、計画をアップデートすることも重要です。

キャリア形成のポイント

キャリア形成の取り組みは、やみくもにするのではなく要点をおさえることが大切です。ここでは、以下の3つのポイントを解説します。

  • 前向きに考える
  • 具体的なロールモデルを見つける
  • できるだけ具体的に計画する

前向きに考える

キャリア形成にあたっては、前向きに考えることが重要です。目標が高く感じて落ち込むこともあるでしょう。しかし、大切なのは、失敗や挫折を学びの機会として捉えることです。自己成長のためにどう活用できるかを考えてください。

自己否定的な考え方を避けて自分の強みや成功体験を再認識すれば、自信を持って次のステップに進めます。目標達成に向けて日々の小さな成功を積み重ね、モチベーションを維持し続けましょう。

具体的なロールモデルを見つける

将来像やなりたい人のロールモデルを見つけることも有効です。自分が目指す業界で成功している人や、自分が将来なりたい職業、ポジションに就いている人を見つけましょう。

ロールモデルのキャリアパスやスキル習得方法、仕事に対する姿勢を分析して、自分に活かします。成功体験や失敗談から学びを得ることで、キャリア形成に役立つ洞察を得られます。

できるだけ具体的に計画する

理想の自分になるための長期的な計画を実行するには、できるだけ具体的に計画することが大切です。長期的なキャリア目標を設定して、逆算的に中期、短期の目標を設定します。このとき、各目標は具体的かつ明確にしましょう。

さらに、勉強計画、実務プロジェクト、セミナー参加など、目標達成に向けた具体的なアクションプランを策定します。計画は定期的に進捗を確認してください。必要に応じて見直すなど柔軟に対応することがキャリア形成につながります。

自分らしいキャリア形成に取り組もう

キャリア形成に悩む場合は、人に相談するのも大切です。たくさんの人をサポートした経験のあるキャリアアドバイザーなら、キャリア形成に関する適切なアドバイスをしてくれます。

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