退職の意思はすでに固まっているものの、いつ誰に切り出すべきか悩んでいるといった方も多いことでしょう。切り出し方・言い方を誤ると、退職トラブルに発展する可能性がある点に注意が必要です。

本記事では退職の切り出し方・言い方の基本に加え、注意点、切り出したあとの具体的な流れについてわかりやすく解説しています。

退職の切り出し方・言い方の基本

退職について切り出し、意思を伝える際には、下記の基本に基づく必要があります。

  • 面談・相談の時間をもらう
  • 直属の上司に相談ベースで話す
  • 退職希望日の1ヵ月前には伝える
  • 繁忙期を避けて伝える

定められたルールを守り、円満退職を目指しましょう。

面談・相談の時間をもらう

自分の中で退職の意思が確実に固まっていたとしても、突然退職の話を切り出すことは避けます。上司に「ご相談したいことがあるのですが、お時間をとっていただけますか」「ご都合の良い日時を教えていただけますか」など、時間を確保してほしい旨を伝えます。

なお、周囲に人がいる状態で、突然退職について話すことはNGです。この時点では、あくまで「相談」ベースで声をかけます。「今すぐ時間をとってほしい」などと急かすことなく、相手の都合を考慮するようにしましょう。声をかけるタイミングは、昼休みや休憩時間など、業務時間外がベストです。

直属の上司に相談ベースで話す

最初に退職の意思を伝える相手は、直属の上司です。会議室などの個室を選び、周囲に話が漏れないようにします。例え仲の良い上司であっても、食事の場などで話すことは避けましょう。「退職」は、仕事上の話であり、プライベートの時間に伝えることは好ましくありません。

また、上司にとっては唐突な話のため、「突然のお話で恐縮ですが」と前置きをしてから退職の意思、理由、経緯などを伝えます。ケースバイケースではあるものの、できれば、退職の意思が固いことも合わせて伝えましょう。引き止めを防ぐことにもつながります。

退職希望日の1ヵ月前には伝える

法律上は、退職希望日の14日前に伝えれば問題ないとされていますが、まずは就業規則を確認し、ルールを守ります。特に記載がない場合も、業務の引き継ぎや有休消化などを考えると1〜3ヵ月前に伝えるのがベストです。どれだけ遅くても、1ヵ月前には伝えましょう。

突然の退職は、チームや業務に影響を与えます。「辞めたあとのことは知らない」と無責任な形で退職してしまうと、のちにどういった形で再びつながりを持つことになるかわかりません。

業務の引き継ぎやマニュアル作成、取引先への挨拶、有休消化などの点からも、できるだけ早めに伝えるようにしましょう。

繁忙期を避けて伝える

年度末や新入社員が入ってくる4月、年末など、会社やチームが忙しい時期の退職は、よほどの事情がない限り避けましょう。繁忙期の退職は、引き継ぎに十分な時間が取れなかったり、代わりの人材の確保が難しかったりとトラブルが起こりやすくなります。

周囲に配慮した退職を心がけ、円滑なコミュニケーションを取ることで、のちの引き継ぎや退職挨拶にも、良い影響を与える可能性があります。自分が希望する退職時期を無理やり押し付けるのではなく、上司と相談したうえで、具体的な時期を決めるようにしましょう。

退職を切り出すときの注意点

退職の切り出し方には、下記3つの注意点があります。

  • 退職したい旨をしっかりと伝える
  • メールや電話などで済ませない
  • ネガティブな退職理由はできるだけ避ける

ポイントを押さえておくことで、上司や周囲の印象も変わるものです。各内容について、解説します。

退職したい旨をしっかりと伝える

「別の仕事がしたくて」「できれば退職したいと思っています」など、あいまいな言い方では、上司もどのように受け止めていいかわからず困ってしまいます。「お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます。一身上の都合により、退職を希望しております」のように、明確に退職の意思を伝えることが重要です。

「退職を希望している」「転職が決まった」のように、誤解を与えない言い回しを選びましょう。また、これまでお世話になったお礼、感謝の言葉を述べたうえで、退職日や引き継ぎについての相談がしたい旨を伝えるとスマートです。

メールや電話などで済ませない

上司に相談の時間をとってもらう際の連絡は、メールや電話でも問題ありません。しかし、退職の意思を伝える際には、メールやLINE、電話ではなく、対面を選びましょう。

メールやLINEで一方的に退職の意思を伝えることで「礼儀知らず」「マナー違反」と受け止められかねません。その後の引き継ぎにも影響を及ぼす可能性が高いため、フェイス・トゥ・フェイスで話し、誠意を見せるようにしましょう。

また、出向等で直接上司と顔を合わせる機会がない場合などを除き、電話で退職の意思を伝えることも、避けたほうが無難です。

ネガティブな退職理由はできるだけ避ける

基本的に、退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。結婚、引っ越しなど家庭の事情によるものであれば、そのまま伝えることも可能です。体調不良による退職であれば、医師の診断書があればよりスムーズに話が進むでしょう。

ただし「給料が安かったから」「人間関係が辛かったから」などを理由とした退職・転職であれば、そのまま伝える必要はありません。ネガティブな理由、批判的な発言は避け、「キャリアアップのため」など建設的な理由を伝えましょう。

転職を伝えたとしても、退職までの期間は現在の会社に在籍することになります。自ら居心地を悪くする必要はありません。円満退職を目指すためにも不用意な発言は控えましょう。

退職を切り出したあとの流れ

退職を切り出し、上司が了承したあとは、周囲に配慮しながら退職に向けた準備を進めます。ここでは退職に向けた流れについて、順を追って説明します。

  • 退職届を提出する
  • 業務の引き継ぎを行う
  • クライアントや関係者への挨拶まわりをする

退職届を提出する

口頭で退職を申し出た後、上司と相談し退職日が決定したら「退職届」を作成します。企業によっては、退職届のフォーマットが用意されているケースもあるため、あらかじめ総務部などに確認しても良いでしょう。特に決まりがない場合は、手書きまたはパソコンで作成のどちらかを選びます。

退職届に書く退職理由は「一身上の都合」とします。実際の理由が結婚や体調不良であっても、一身上の都合として問題ありません。改めて書面で提出することで、「言った」「聞いていない」などの不要なトラブルを避けることが可能です。

業務の引き継ぎを行う

退職日から逆算し、引き継ぎのスケジュールを作成します。自分が現在担当している仕事をすべて書き出し、誰に何を引き継ぐ必要があるのか、どのようなマニュアルを作成すべきかを考えましょう。

退職前に有休消化を検討している場合は、より早い段階での引き継ぎが必要です。「引き継ぎも終えていないのに有給で休んでいる」と言われる状況は好ましくありません。

引き継ぎマニュアルには、特定のフォーマットはありませんが、引き継ぐ相手の理解レベルに合わせた内容にしましょう。自分が受け継いだ情報や資料であっても、時間の経過とともに不要になっているものがあるはずです。改めて必要な情報、資料を整理することが必要です。

クライアントや関係者への挨拶まわりをする

後任に業務を引き継ぐ傍ら、クライアントや関係者に挨拶に行きます。できれば、後任と一緒に行き、退職の挨拶と後任の紹介を一緒に済ますとよりスマートです。取引先も安心し、今後も良い関係を継続できるでしょう。

時間の都合で直接訪問が難しい場合や、関係性が浅い場合は、メールで挨拶を済ませても問題ありません。ただし、その場合は、後任が直接取引先に連絡を取るまでに、挨拶と紹介を済ませられるよう早めに動くことが大切です。

また取引先や関係者に関しては、細かな退職理由を述べる必要はありません。「一身上の都合による退職」として伝え、感謝の言葉だけを述べます。

退職後の転職活動に困ったら転職サービスを利用しよう

円満退職を目指すのであれば切り出し方や言い方、タイミングなどが重要です。繁忙期を避け、直属の上司に対面で退職希望であることを伝えたうえで、退職日から逆算し、引き継ぎの準備を行いましょう。

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