転職において役立つとされるITスキルですが「MOS資格は役に立たない」と聞いたことはありませんか?なかには「履歴書に書くのが恥ずかしい」などという声も。しかしMOS資格は、全世界共通かつ知名度の高い資格です。

本記事では、MOS資格の詳細や「役に立たない」と言われる理由、役に立つ職種、MOS資格に関するよくある質問について解説しています。MOS資格の取得について悩んでいる方やIT業界に興味のある方、必見です。

MOS資格とは?

MOS資格の正式名称は「マイクロソフトオフィススペシャリスト(Microsoft Office Specialist)」です。世界的に見ても、認知度が高い資格のひとつといえます。まずは資格の詳細と、取得の難易度について解説します。

マイクロソフトオフィススペシャリスト試験

MOSは、マイクロソフト社の製品であるWord、Excel、PowerPoint、Access(データベース管理ソフト)、Outlook(電子メール・情報管理ソフト)に関する知識や操作スキルの証明となる資格です。

マイクロソフト社のソフトは、「Word2016」「Word2019」「Word365」のように複数のバージョンが存在します。普段自分が使用しているソフトに対応した試験を受けることが一般的です。レベルは「エキスパート」「アソシエイト」の2つに分かれており、同一バージョンの必須3科目、選択1科目に合格すると「マスター」の認定書が受け取れます。

MOS資格の難易度

MOS試験の受験者は、2023年9月13日時点でのべ500万人を超えています。グローバルな資格試験のため、デジタル認定証・合格認定証は、世界共通です。受験者数の多さからも、知名度の高い試験であることがわかります。

一方、合格率の公式発表は行われていません。資格取得をうたう民間教室等が独自に発表しているデータによりますと、一般の合格率は80〜90%、上級で60%程度とかなり高めです。難易度が低い試験のため、初心者の合格までの勉強時間は、およそ80時間程度と言われています。

MOS資格が役に立たないと言われる理由

MOS資格について調べると「役に立たない」「履歴書に書けない」などネガティブな情報が出てきます。役に立たないと言われる理由は、主に下記の3点です。

  • IT資格のなかで難易度が低く取得しやすいため
  • 資格を取得しても実践スキルが身につきにくいため
  • PCスキルが一般的になものになっているため

IT資格のなかで難易度が低く取得しやすいため

MOS資格以外に有名なIT資格には、ITパスポートと基本情報技術者があります。下記は、合格率の比較表です。

合格率
MOS資格(一般) 約80〜90%
MOS資格(エキスパート) 約60%
ITパスポート 約50%
基本情報技術者 47.1%(令和5年度)

合格率で比較した場合、MOS資格はIT資格のなかで、もっとも難易度が低い資格といえます。また、ITパスポートは経済産業省認定の国家試験、基本情報技術者試験は独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」主催の国家試験、MOS資格は民間試験です。

資格を取得しても実践スキルが身につきにくいため

MOS資格では、ソフトに関する基本的な知識や操作方法が問われます。普段からパソコンに触れている人であれば、40時間程度勉強すれば合格できる資格です。過去の問題を解いたり、出題傾向を学んだりとしっかり対策を行うことで、比較的合格しやすいでしょう。

そのため合格しても、実践スキルが身についているとは言えません。「資格は取得したが、実践では役に立たない」といったケースも考えられます。資格とスキルを活用し、転職したいと考えている人にとっては期待はずれとなる可能性があります。

PCスキルが一般的なものになっているため

MOS資格は、Officeソフトの基本的な操作スキルがあることを証明してくれます。しかし、現代においては多くの人がパソコンを所有し、使用しています。MOS資格を取得していなくても、WordやExcelの基本的な操作ができる方も多いことでしょう。また、わからないことが出てきても、検索すればすぐに調べられます。

「多少わからないことがあっても、調べながら業務を進める」という考え方も多いです。M OS資格だけでは、パソコンスキルの証明にはならないと考えたほうが良いでしょう。

MOS資格が役に立つ職種

MOS資格が役に立たないといった観点で説明を進めましたが、もちろん職種によっては、MOS資格が役立つケースがあります。特に役立つのは、下記3つの職種です。

  • 事務職
  • 営業職
  • 秘書

これらの職種への転職を考えている方は、資格取得を検討してみましょう。

事務職

事務職の場合、WordやExcelの基本操作スキルが求められるケースが多く、取得しておくことで即戦力としての採用が期待できます。さらに、活用できるのはWord=書類作成、Excel=表作成だけではありません。資格取得のための勉強を通じて細かな機能を理解しておくことで、実務で大いに役立つでしょう。

また企業によっては、応募条件に含まれているケースもあります。「Word、Excelの使用経験者歓迎」と漠然と記載されている求人に対しても、MOS資格を提示すれば、自分のスキルを明確に伝えられます。

営業職

営業職は、商品やサービスの知識と営業トークの上手さに目が行きがちな職種ですが、営業資料の作成も重要な仕事です。MOS資格を取得しておくと、読みやすくわかりやすい資料を短時間で作れる可能性があります。

質の高い資料を作ることで、チーム内での共有も可能です。クオリティの底上げにもつながり、チームのモチベーションも高まることでしょう。さらに資料のわかりやすさは、売上に直結するケースもあります。営業職の場合、持っておいて損のない資格と言えるでしょう。

秘書

秘書の仕事は、上司の業務サポートです。スケジュール管理や出張時の公共交通機関の手配などがイメージされやすいですが、実際には資料作成やファイリングなども行います。上司が多忙であれば、秘書も多忙なため、MOS資格を取得し、書類作成スキルを高めておくことで、効率よく仕事が進められるでしょう。

また、秘書の仕事を目指す人向けの資格には、MOS資格が掲載されているケースが多いです。秘書未経験であっても、コミュニケーション能力が高くMOS資格を取得していれば、採用に有利に働く可能性があります。

MOS資格の他に役に立つIT資格

MOS資格の他に役に立つIT資格は、ITパスポートと基本情報技術者の2つです。どちらも国家資格であり人気の資格ですが、細かな違いについてわかりやすく解説します。

ITパスポート

ITパスポートは、すべての社会人が備えておくべき基本的なITスキルの証明となる国家資格です。2009年に開始され、年々受講者数が増えています。未経験でも取得が可能なため、高校生・大学生・専門学校生の受験も多いです。

出題範囲が幅広いため、資格取得に向けた勉強をするなかで、ITの基礎知識はもちろん、情報セキュリティや企業コンプライアンス、経営全般の知識などが身に付くメリットがあります。情報技術職を目指す人はもちろん、パソコンを使用するすべての職種にとって必要なスキルが得られる資格です。

基本情報技術者

基本情報技術者試験は「ITエンジニアの登竜門」と称されることが多い国家資格です。ITエンジニアとしてのキャリアを考えている方が、最初に取得するケースが多いためです。難易度は、基本ITSSレベル2、応用ITSSレベル3です。

企業によっては、新人エンジニアに資格取得を促すケースもあります。頭に「基本」とついていますが、出題範囲は幅広いため注意が必要です。プログラミング、ソフトウェア・ハードウェア、プロジェクト管理など試験範囲は多岐に渡ります。

MOS資格に関するよくある質問

MOS資格に関する基本情報を押さえたところで、ここからは、よくある質問とその回答についてわかりやすく記載します。

MOS資格は履歴書に書いてもいい?

MOS資格は、世界共通の資格のため、取得しているのであれば履歴書に書きましょう。ITスキルやofficeソフトの活用スキルがある証明となります。前述したように、事務作業を行う職種であれば、高く評価される可能性が高いです。

一方、IT企業への転職を考えている方にとっては、MOS資格を記載したとしても、採用面であまりプラスにならない可能性があります。どちらにせよ、履歴書に書くことでマイナスとなることはないため、記載しておきましょう。

MOS資格の勉強法は?独学でも取得できる?

MOS資格は、難易度の高いものではないため、独学も可能です。テキストも多数販売されており、わからないことが出てきてもインターネットで検索すれば、解決策が見つかります。独学のデメリットは、挫折しやすいことですが、SNSなどで資格取得を宣言するなどして、毎日コツコツ勉強することがおすすめです。

またMOSの資格取得に向けた勉強は、パソコンスクールや通信講座でも学ぶことができます。自分に合った方法で資格取得を目指しましょう。

MOS資格は業種によっては役に立つ資格

MOS資格は、事務職や営業職、秘書など、業務の中に書類作成が含まれる職種を目指す人にとって、特に役立つ資格です。IT業界への転職向きではありませんが、他の業界であれば、履歴書に記載した際に目を惹く可能性があります。

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